こんにちは、インテージグループ所属の車いす陸上アスリート・北浦春香です。
2024年のシーズンは自身が最大の目標として掲げていた4年に一度の国際大会に日本代表としての出場がかない、確かな成長を感じることができました。充実したシーズンをあらためて振り返ってみたいと思います。
2024年5月には地元神戸で初めて世界選手権(神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会)が開催されました。これまで長い競技生活において多くの国際大会に出場させていただきましたが、自国開催でシニアの日本代表としての舞台を経験することは初めてでした。
家族や友人、インテージグループのメンバーら普段から温かい応援を受けている人にレースを見てもらうことがかない貴重な機会となりました。パラ陸上は国内の大会では関係者以外に観客が入ることは少なく、まだまだ知られていないスポーツです。そんな中でも子どもから大人まで多くの方がたに会場まで足を運んでいだきました。応援が力になることをあらためて実感し、またひとつ成長することができたと思います。
2024シーズンのハイライトはやはりパリで開催された4年に一度の国際大会への出場です。前回大会は新型コロナウイルスの影響により延期となり、2021年に東京で開催されています。自国開催として強い思い入れある中で出場を逃してしまい、とても悔しい思いをしました。日本代表としてもう一度世界最高峰の舞台に立つことは2021年以降、私自身にとって最大の目標でした。
この大会で私が掲げていた目標は「100mを19秒台で走り世界と勝負をすること」でした。私の障害クラス(T34)は世界的にとてもハイレベルです。世界記録は16秒台という強豪揃いの中、19秒台で走ることは最低条件でした。そのため、パリまでの準備期間は19秒台、また自己ベストというものにとにかくこだわってトレーニングを積んできました。
結果は予選、決勝ともに19秒台で走るという目標を達成し、19秒68というタイムで7位入賞しました。このタイムは2024年のシーズンベストであり、最もターゲットにしていたレースで結果を残すことができたと感じています。自己ベストには届かなかったものの、世界最高峰の舞台で見た景色は自分にとってかけがえのない財産となりました。
パリでの国際大会を終えて一番に感じたのは「やり切った」という想いでした。
どの選手にとっても4年に一度の大会にピークを合わせることは容易ではありません。
日本代表としてパリでの自身の目標に関しては十分な達成感がありました。
また私の結果は7位入賞でしたが、6位の選手も8位の選手もともに日本の若手でした。パリの舞台を経験して19秒台の私が勝負すべき場所は国内レースだと実感しました。国際レースにこだわることなく、まずはレベルが上がっている国内の大会でしっかりと自己ベストを更新していくこと、前を追っていくことが必要だと考えました。そこで4年に一度の国際大会を目指すことには一旦区切りを付け、次のステップに進むことを決めました。
国際大会への出場には区切りをつけましたが、決して競技を引退したということではありません。
今シーズンからは国内を主戦場として競技活動を続けています。
これまでパラ陸上は国内での公認大会の数が少ないことが大きな課題でした。選考大会が少ないため、多くの選手が海外へ遠征して試合数を稼ぐ努力をしてきました。
しかし近年は健常者の陸上競技大会でパラ陸上のレースを公認として実施していただく機会が増えました。今シーズンも毎月レースに出場することができ、トレーニングの成果を図るには大変効果的だと感じています。
今シーズン、すでに5月の大会で19秒59をマークし、昨シーズンのベストタイムを超えることができました。シーズン前半としては非常に良く、しっかりトレーニングを積めていると感じています。できるだけ多く国内レースに出場して、パフォーマンスを高めていくことと、19秒前半のタイムを出すことが今シーズンの目標です。
いつも温かいご声援をいただきありがとうございます。
昨シーズン、インテージグループの一員として国際舞台に立てたことを誇りに思います。私の競技活動を通じて少しでも皆さまにパラ陸上の魅力を知っていただけたらうれしく思います。今後もひとつひとつのレースを大切に、着実にレベルアップしていきたいと思いますので引き続き応援をよろしくお願いいたします。