パラ陸上ってどんなスポーツ?クラス分け概要編~車いす陸上アスリート・北浦が解説!③


こんにちは、インテージグループ所属の車いす陸上アスリート・北浦春香です。
今回は、パラ陸上をより深く知っていただくために欠かせない「クラス分け」について、Q&A形式で説明したいと思います。

Q1. パラ陸上の最大の特徴は?

A1. さまざまな障がいの種類、程度が異なる選手が競技を行うこと。

Q2. 障がいの種類ってどのように分かれている?

A2. 大きな分類は三つ!


クラス分けにあたり、まずその選手が行う種目がトラック(Track。走・跳躍競技)なのかフィールド(Field。投てき競技)なのかにより、TまたはFの記号が与えられます。記号に続く番号は、障がいの種類と程度を表しています。原則として番号の値が小さいと障がいの程度は重く、大きいと軽くなります。

Q3. 身体障がいの区分は?

A3. 身体障がいについては、とても複雑に細分化されています。競技の公平を期すために、これは大変重要です。
身体障がいには30番台、40番台、50番台、60番台の四つの分類があります。これは障がいの原因をカテゴリー化したもので、それぞれのカテゴリーの中でさらに細分化され、適切にクラス分けされています。たとえば、下肢切断で義足を使用している選手は60番台です。

Q4. 障がいの程度って、具体的に何が違うの?


A4. 最もわかりやすい例として、T54とT53を比較してみましょう。どちらも、車いすで上肢に障がいのないクラスです。
T54の選手は体幹機能も正常なのに対し、T53の選手は腹筋・背筋の機能がありません。姿勢を保つことができず、体幹だけで起き上がる、体をあおるという動作ができません。
瞬発力が重要になる短距離レースでは、体幹が機能するかどうかは重要な要素になります。そのため、100~800メートルではT54、53の選手は異なるクラスとして競技します。

Q5. 1500メートル以上になると?

A5. 1500メートル、5000メートル、10万メートル、マラソンについては、T53、54の選手は同じ区分で競います。「距離が長くなると、体幹機能をほかの要素でカバーできる」と捉えられているからです。
「それでも不利じゃないの?」と思われがちですが、実際にはT53の選手とT54の選手は互角に戦っています。


パラ陸上のここがすごい!!


車いすマラソンの選手が、何時間で走るか知っていますか?男子の日本記録は1時間20分52秒。一方、健常者の男子選手の日本記録は2時間5分50秒です。実は、一般的に「800メートル以上の距離になると、足で走るよりも車いすの方が速くなる」といわれているんです。
時速30キロ以上で走るスピード感や、集団の中での位置取り争いなど、車いす競技ならではの魅力があります!

Q6. 北浦のクラスは?


A6. T34(R2022)です。
私の障がいは脳性まひといいます。脳原性なので30番台、車いすを使用するT33と34のうち、まひの程度が軽いクラスに分類されます。

では、「R2022」とは何でしょう?
上の例にもあるように、クラス分けを受けるとその選手のステータス(クラス分けの状況)も同時に付与されます。障がいが進行する可能性のない選手には「C(Confirmed。確定という意味)」が付いてクラス確定となり、今後はクラス分けの必要がありません。
状態が不安定、または進行する可能性がある場合は、期限付きの「R(Review。再検討、見直しという意味)」となります。私の「R2022」は、「T34というクラス判定が2022年まで有効である」という意味です。そのため、2022年以降に大会に出場する場合は、再度クラス分けのテストを受ける必要があります。

いかがでしたか?
クラス分けによる競技カテゴリーの細分化はパラスポーツの難しいポイントですが、クラス分けを理解した上で競技を見ると、いっそうおもしろいかもしれません。

次回は、「クラス分けテストってどんなことをするの?」というテーマで解説します!

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