2019.02.28
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データで人を幸せにするために必要なこと ~研究開発部門が担う役割とおもしろさ 【from talentbook】


インテージグループは1960年に創業し、約60年間にわたりマーケティングリサーチの事業を行なっています。2017年には研究開発に取り組むR&Dセンターを新たに創設。研究開発とデータサイエンスチームを率いる山本直人が、この部門が担う役割やおもしろさについて語ります。

アジアにどんどん進出し、存在感を高めている日本の調査会社は他にない

R&D(Research & Development)センターは、2017年4月にできた部門です。

グループ横断の組織で、僕も含めてメンバーは全員兼務。今後のリサーチ業務に使える新しい技術やアプローチ手法を探し、インテージグループの事業として検証することがミッションです。

僕は社員が起案する開発アイデアに意見を出したり、大学の先生などのアカデミーやスタートアップとの連携窓口を担ったりしています。

これまで、前職と合わせて20年近くリサーチ業務に携わってきました。もともと大学での専攻はジャーナリズムで、調査報道がおもしろいと思ったのがこの世界に入るきっかけでした。

データを報道するマスコミの意義よりは、データを用いて世の中を楽しくしようとするマーケティングの可能性に、より興味を抱いたんです。

マスコミは事件性に注目しがちですが、普通の生活者のデータを突き詰める方が魅力的に映りました。根本には「もっと深く人を知りたい」という想いがあるんでしょうね。

インテージに転職したきっかけは、「うちの会社受けてみない?」と声を掛けてもらったこと。前職は外資系企業で、基本的には海外の本社から降りてくる仕事が多い環境でした。

一方インテージは日本の会社ですから、自分たちでビジネスをコントロールできることは大きな魅力。R&Dセンターのような部門が成立するのも、基盤となるビジネスがあるからこそです。

また、アジアにどんどん進出して存在感を高めていますが、そういう日本の調査会社は他にありません。そんなところに対しても、ワクワク感を抱きました。

いざ入社してみると、やはり日本の会社らしくかっちりはしています。前職は外国人や海外生活の長いスタッフも多くて、役員も含めて下の名前で呼ぶ文化。

けれど、外資系がフランク過ぎるだけで、当社も役員をさん付けで呼んでいるし、そんなに違和感はなかったですね。

それに、リサーチ会社の人は何となく同じ匂いがするんですよ。一歩引いて状況を観察したうえでコミュニケーションを取る人が多いというか……。

多分、僕もそういう雰囲気を醸し出しているんでしょうね。まだ入社4年目なんですけど、「10年選手かと思いました」ってびっくりされます(笑)。

無駄なことはない。その時ダメでも、数年後に実用化される技術もある

当社には、社員に考えさせる環境があると感じます。なかには、「なんで上の人が指示してくれないんだろう」と思う人もいるかもしれません。

しかし、自分たちの工夫が通ることで得られるやりがいは大きいですし、そこに個人が成長するドライバーが隠れているのではないでしょうか。

新しいアイデアを成し遂げれば学術的な知識がワンランク上がりますし、それを事業に結びつけられればビジネスに貢献できる。両方で成果を出すことで、自分が高まっているという実感を持つことができるはずです。

案件数が多いわけではないですが、やはり先行的に進めた技術が事業に結びついていくのはうれしいものです。

一方で、既存のビジネスを担っている部門の人が、僕らと同じように新しい技術やアプローチに興味を持ってくれるわけではありません。

「これはいいだろう!」と思った技術を伝えた時の反応の薄さに、フラストレーションを感じることも時にはあります(笑)。

ビジネスの軸となるデータの管理・運用を行なうミッションを持った部門に、新技術の価値をどうやって伝えるのかが非常に重要です。

外部環境の変化や流れを捉えたうえでタイミングを計り、メリットをきちんと理解してもらうための仕掛け方を考えるのも、僕らの役割だと思っています。

それに、仮にうまくいかなかったとしても、無駄になるわけではありません。

たとえば、最近は画像解析が注目されています。当社でも研究開発をしていたことがあって、その時はさまざまな事情により取り組みはストップしていました。

ところが、徐々に当時の懸念点が解決し、最近になって別のかたちとしてその時の経験が活きる事例がありました。時が過ぎ、環境が変われば、過去の蓄積が活きることもある。

こういう例は今後も出てくるといいなと思っています。

執務室で黙々と仕事をしているだけでは、新しい発想は生まれない



R&Dを担当するデータサイエンティストやエンジニアは、根底に「面倒くさい」とか「楽したい」という気持ちがある人が多いと思います。

だからこそ面倒なことを解決しようと新しい技術に取り組むわけで、この仕事をするうえでの大切な素養です。

ただし、時には面倒なことをやらなければいけないとも思います。面倒なことがすべて無駄なわけではないですし、楽ばかりしていてはスキルも伸びません。

「ここは苦労すべきところで、ここは楽をしても良いところ」といったバランス感覚を持ったうえで、技術を活かして仕事ができるといいですよね。「面倒」をいかにポジティブに捉えるかが大切だと思います。

僕のメンバーには失敗してもいいから、どんどんアイデアを出してくれればいいなぁと思っています。

思いつきレベルで壁打ちしてくれた方が各自の興味を理解しやすいですし、つくり込まれていない分、発想のジャンプも起こりやすいはずです。

本来、R&Dセンターの仕事のおもしろさはそういうところにあるはずなので、そこはまだまだですね。

たとえば、執務室から出て、普段と違う環境で仕事をしてみれば、思わぬアイデアが生まれることもあるのではないでしょうか。

当社はフレックス制で在宅勤務もオッケーですから、制度をうまく使ってほしいですね。その辺りの設計はまだまだ模索中ですが、メンバーに楽しみを見つけてもらえるように工夫していければと思っています。

また、周囲の人ともっとコミュニケーションを取ってほしいとも思います。

データはあくまでも“ある一面”を切り取ったもの。当社で扱っているさまざまなデータの裏には、人の複雑な行動があるはずで、想像を膨らませて「そのデータが何を表しているのか」を考える訓練が必要です。

やろうと思えば一日中誰とも接することなく仕事ができてしまいますが、人を理解する努力は必要ですし、人と関わることで得られる発想はきっとあるはずです。

「夕飯は任せたいけど釣りは自力がいい」 “データで人を幸せにする”の意味



リサーチをなりわいにするわれわれが果たすべき役割は、データを用いて人を幸せにすることです。それは、「個人の時間をちゃんとつくれるようにする」ということだと思います。

究極的には、僕は脳の一部に仕事を任せて、残りの部分で遊んでいたいんですよ。

データで僕の判断基準を表して、僕の思考回路に沿って仕事を進めてくれればいいわけで、日常のルーティンに関しては自動化したいと思うんです。

そういう世界が実現したら怖いような気もしますが、それで収入を得つつ、世界の裏側で生活が成立するのであれば素敵じゃないですか。

もう少し近い未来で考えると、たとえば買い物。自分で決めたいときもあるけれど、忙しいから全部を任せたいときもありますよね。

体調や好みなどのデータを元に「今日はこれがおすすめ」と夕飯のメニューを推奨してもらえれば、迷わなくなることで余剰時間が生まれます。その時間を自分のやりたいことに費やせるわけです。

そうやって余暇が増えたら、僕自身はまず睡眠時間を増やしたいです。しっかり寝れば週末にフルで遊べますからね。

休日は大抵、夜中の2時くらいに家を出て、社内の人や、40年来の友人と釣りへ行くんですよ。六本木に釣った魚をさばいて調理してくれるレストランがあるので、釣った後は東京に戻り、魚とお酒を楽しんでいます。

さばく作業を任せて楽をするのは、普段の仕事でやろうとしていることにも近いですね。ただ、趣味の釣りでは仕事を活かしたくないんです。あくまでも自分の経験値でやりたい。

たしかに水温や潮の流れを測るデバイスはあって、データを用いることはできるんですが……、そこはあえて残しておきたいんですよね(笑)。

データを使ってすべてを効率化したいわけではないというか、自然を相手に遊びたい気持ちがあるんです。「データを用いて人を幸せにする」ことの中には、「効率化したいものを選べる」ことも含まれているんだと思います。

近年あらゆる産業がデータ活用に関心を持つようになって、AIをはじめとしたテクノロジーが日々進化していますが、マーケットはまだまだ混沌としています。

だからこそ、「マーケティングはインテージ」という状態がつくれるはずです。

なかなか認知されていないですが、インテージグループが持っているデータっておもしろいんですよ。人を理解するための多彩なデータが揃っていて、大学の先生からは「こんなおもしろいデータがあるんですね」と感心されることも少なくありません。

今こそ大きなチャンスと捉えて、もっと世の中にインテージグループの事業を広めていきたいですね。


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(所属・役職は取材時のものです)

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カテゴリ:働き方