こんにちは。インテージグループ所属の車いす陸上アスリート・北浦春香です。
一段と寒くなりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか？現在冬季トレーニングで「スーパーウルトラ強化月間」につき、毎日ヘトヘトです。
今回は私の冬季トレーニングを紹介します。冬季のことをオフシーズンと言ったりしますよね？「試合は終わったし、オフだし、結構休んでいるの？」と聞かれることもあります。
実はそうではなくて、シーズンが終わって次のシーズンが始まるまでのこの冬季こそ、一番ハードなプロプラムを淡々とこなします。冬季は身体の基盤をつくり直すとともに、弱点の克服、また新しいことにも挑戦できる貴重な時期です。
では、一週間のスケジュールを簡単に紹介しますね。
| 曜日 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 月 | トラックにて実走練習 | 持久力走、インターバル |
| 火 | ローラートレーニング | 中程度の負荷 |
| 水 | 休息日 | |
| 木 | ウエイトトレーニング → ローラートレーニング | 筋力強化メインの高負荷 |
| 金 | ローラートレーニング → ウエイトトレーニング | フォームの確認と持久力の強化 |
| 土 | ローラートレーニング | 低負荷のスピードトレーニング |
| 日 | 休息日 |
お分かりのとおり、陸上選手なのに陸上競技場では月曜日しか練習していません。この寒い時期に身体をガンガン追い込むには、「ローラー※」が大活躍です。
次に、私の「秘密基地」、トレーニングルームを公開します。ありがたいことに部屋を借りることができ、いろいろなトレーニング器具を持ち込んで、秘密基地を作りました！
メインで使用しているローラーがこちら。
「レーサー（競技用車いす）」の後輪を少し浮かせて両輪をローラーの上にセットすれば、空こぎ状態でトレーニング可能です。
このローラーの最大の特徴は負荷を変えられるところ。少し見づらいですが、ローラーにマグネット式で調整のレバーがついていて、0から3までの四段階に負荷を変えてトレーニングが可能です。
「3」はゆるい上り坂程度の負荷なので、スタートダッシュの出力トレーニングによく使用します。
反対に「0」は負荷が実走よりも軽いので、フォームの確認や「オーバースピードトレーニング」に使用します。「自力では出すことのできないスピードを体感して、手がリングにしっかりとついていく」のがオーバースピードトレーニング。「軽い物を速く動かす」という筋肉への指令にも効果的なので、トレーニングプログラムの最後に実施することが多いです。
ローラーを使ったトレーニングでは、異なる負荷で秒数やこぐ回数を組み合わせて、毎回のプログラムをトレーナーに組んでもらっています。写真はある日のプログラムで、数字の羅列は平均や最高の速度を記録したものです。
ローラーをこぐばかりで、毎日ハムスターになった気分ですが、目的に合わせたプログラムの組み合わせは豊富。何より寒さを感じずに、トレーニングの量も質も高めて、身体を追い込むことができます。
そして、木曜日と金曜日の「ウルトラ追い込みトレーニング」の必須アイテムがこちら。「ディップススタンド」と「バーベル」です。
「ディップス」は自重トレーニングのひとつ。写真左の黄色のバー（ディップススタンド）の間に立って、腕の力で自分の体重を支え、肘を曲げ伸ばしすることで上腕三頭筋（二の腕の後ろ側）を鍛えます。
バーベル（写真右）は一般的なトレーニング器具として知られており、ベンチプレスに使用します。
木曜日はこれらを使って筋肉をパンパンに追い込んでからローラーをこぐ過酷な日です（笑）。金曜日はローラーで追い込んでから、軽いバーベルを速く上げるトレーニングを行います。
このようなトレーニングの組み合わせで追い込みに追い込まれ、週明けにトラックで実走の感覚を確かめながら、さらに自分を追い込んでいます。
毎日ハードですが、試合がなく、スピードやタイムにとらわれずにトレーニングを積み上げることができるので、めちゃくちゃ楽しく！（半分嘘です…）取り組んでいます！
試合まで時間があることで、試行錯誤できる時期でもあり、ハンドリム（ごぐ際に回すリング）のサイズを変えてみたり、いろいろなグローブを試してみたりしています。
気温や風の条件に関係なく、単純に比較できるのもローラートレーニングの魅力ですね。使う道具やトレーニングの成果がどう出るのか、春がとても楽しみです。
1月はさらに過酷な強化月間になるらしいです！
コツコツとトレーニングを積み上げていきたいと思います！
今回は冬季トレーニング in 秘密基地の様子を紹介しました。
