データの力で医療の未来を切り拓く - 私のインテージリアルワールドでの挑戦

2022年にインテージリアルワールドに入社した藤本 彩芽。医療データを用いた医療の課題解決を目指し、日々新しいことに取り組んでいます。そんな藤本が感じる仕事の面白みについて、聞きました。
経済学から医療へ - 一つの授業との出会いが導いた私の進路
大学では商学部で経済学を学んでいましたが、3年生のときに医療経済学の講義を受けたことが、私の人生の転機になりました。その講義で、病床機能に対する入院基本料の変更が医療提供体制にどのように影響を与えるかを定量的に分析する研究を知り、医療に携わる人々の行動が制度設計によって大きく変化しうることにとても興味深く感じたんです。
もともと医療には漠然とした興味があって、健康でいたい、長生きしたいという思いがありました。また、そういう思いに応えて実際に病気の治療に携わる医師や看護師に対してかっこいいなという憧れがありました。そんな中で、この医療経済学という分野を知り、医療と分析を組み合わせることで、医療従事者になることとは別の視点でも医療業界に貢献できるかもしれない、と可能性を感じました。直接的に患者を救うことはできなくとも、データを使ったアプローチによって、医療に携わる人々の行動を明らかにして効率的な医療提供を実現することは、間接的に多くの患者を救うことにつながるのではないかと考えたんです。
大学では主に理論を学んでいましたが、もっと実践的な分析をしたいと思い、大学院に進んで医療経済学を専攻することにしました。大学院で実際にレセプトデータを扱った分析をしたときに、客観的かつ実態に即したデータである点に魅力を感じ、医療データ分析の中でも特にレセプトデータの利活用を発展させていきたいと考えていました。
就職活動では、その思いを実現できる会社を探していました。インテージリアルワールドのホームページを見たとき、調剤データに特化していることが印象的でした。入社を決めたのは、自身の研究が薬局の調剤行動にフォーカスしていたこともあり、大学院での学びを活かせる環境だと感じたからです。自社でレセプトデータを扱っているかどうかも重要なポイントでした。
会社の雰囲気は、入社前に想像していたよりずっと和やかで、上司や先輩方も優しく風通しが良い働きやすい環境です。また、チャレンジングな課題に取り組める機会が多いのも魅力だと感じています。

▲大学院の修了式にて指導教官と撮影(向かって左が藤本)
分析を支えるデータ構築
入社前は、少し小難しいような手法を使って効果検証を行うような、いわゆる「データ分析」をひたすらするのかと思っていたんですが、実際にはデータベースの構築やMotion Board※の画面の作成など、お客さまが分析するための土台を整える仕事が占める割合が多いです。
もちろん、これまでの大学での研究でも、分析するためのデータを構築するのが一番大変で重要な部分だということを実際に感じていたので、そこに対しての違和感はありません。
今の主な仕事の1つとして、”適応分け”というサービスに携わっています。薬局から受領する調剤データには、どの疾患に対して医薬品が使われているかという情報がないのですが、別のデータベースから機械学習でデータをあてはめるんです。つまり、既存のデータで足りない部分に対し、予測を用いて補完していくのです。
また、サンプリングデータを日本全国の実態に合わせるための拡大係数を作成したり、データに外れ値があるとどうやって除去するかを考えたりなど、統計手法を用いてデータの質を高める業務にも携わっています。
これらの仕事を通じて、単に分析するだけでなく、お客様が分析しやすい環境を整えることの重要性を実感しています。
扱うデータによって形式や傾向の違いなど、さまざまなクセがあるため、それらの特性を理解したうえで集計・加工を行う必要があります。また、業務では、1度だけ頑張ってデータを整えれば終わりということは少なく、毎回更新されるデータをある程度自動的に継続的に処理できるような仕組みづくりも求められます。加えて、「お客様が本当に見たいものは何か」、「どういうアウトプットがわかりやすいか」といったお客様の視点に立つことも欠かせません。
データの性質・運用の観点、そしてお客様のニーズをバランスよく考慮しながら、最適なデータを提供するというのは、考えることが多く簡単ではないからこそ、日々やりがいを感じながら仕事をしています。
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- Motion Board:ウイングアーク1st社が提供する、データを集計・分析し可視化するBIツール

▲インテージリアルワールド社の社員旅行にて(左から7番目が藤本)
没頭力が武器 - 独自の視点で課題に挑む
私はマイペースで少し頑固な部分がありますが、この特性が、仕事では意外と活きています。今の開発運用グループの仕事は、結構チャレンジングなことが多くて、現状の技術では難しい課題に取り組むことがよくあります。そんな中で、私の”あきらめない”姿勢や”失敗してもへこたれない”性格が役立っています。どちらかというと自分の世界に入ってしまうタイプなんですが、それが逆に良い方向に作用しているのではないかな、と。一度没頭すると集中して取り組めるので、開発の面ではとても効果的だと感じています。
また、学生時代の経験も仕事に活かされています。高校時代は空手部に所属していて、そこで培った粘り強さが今の仕事にも活きていると思います。中学まではメディア制作部でイラストや漫画を描いていたこともあり、クリエイティブな面でも力を発揮できています。
さらに、小学生の時から続けていたボーイスカウトの経験も大きいですね。野外活動を通じてサバイバル能力を身につけただけでなく、チャレンジ精神も養われました。やったことのないことでも、まずやってみるという姿勢は、新しい技術や手法に挑戦する今の仕事にも通じています。
仕事で最も好きなのは、今あるデータを単純に集計するだけでなく、未知の情報を自分たちの手でわかるようにすることです。機械学習で予測モデルを作成するときに、学習するデータをどのように選定してどのような特徴量をモデルに入れると効果的か、文献やデータの集計によって得られる様々な情報を整理して仮説を立てて実証して、精度を検証して改善していく過程が特に面白いです。学生時代の研究で好きだった部分のフローと似ていて、試行錯誤を重ねていくのが楽しいんです。
時には仮説と全く違う結果が出ることもありますが、そういった予想外の結果から新しい知見を得られるのも面白いところです。試行錯誤を重ねて良いものができたときの達成感は格別です。

▲空手部の大会の組手試合の様子(右が藤本)
データの可能性を追求 - 医療の課題解決を目指して
将来のキャリアについては、今の仕事をさらに深めていきたいと考えています。現在あるデータに予測やさまざまな手法を使って、生のデータだけではわからない部分を明らかにしていく。そうやってデータに付加価値をつけていくことに興味があります。
特にインテージグループという大きな括りで見ると、多種多様なデータを保有しているので、会社の垣根を越えてデータを掛け合わせることで、個々の独立したデータだけではわからなかったものが見えてくることがあるのではないか、と。自社のデータでできることの幅を増やしていくことが第一ですが、そのような会社の枠を超えた相乗効果を生み出すことにも取り組めるといいなと思っています。
長期的な目標としては、日本の医療が抱える課題の解決に貢献したいと考えています。高齢化の進行、皆保険制度の持続可能性、医療費の高騰、医療の地域格差など、医療分野には山積みの課題があります。新しい医療技術の登場に伴い医療にかかる費用はどんどん上がっていく一方で、それらを抑制するために医薬品などの医療の価格を下げると研究開発が滞るリスクもあり、複雑な要因が絡み合っています。
これらの課題を少しでも解決できるよう、データ分析の力を活用していきたいです。今の仕事を発展させていくのか、それとも全く新しい視点からアプローチするのか、まだ具体的な方法は見えていませんが、着実に前進していきたいと思っています。
インテージリアルワールドは、他社と比べると小規模ですが、その分、様々なことにチャレンジできる風土があります。自分のやりたいことを実現するのに最適な場所だと感じています。これからも、この環境を活かして成長し続け、医療分野に貢献していきたいです。
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(所属・役職は取材時のものです)