「サステナブル・ブランド国際会議2022 横浜(SB横浜)」に行ってきました


こんにちは、広報・サステナビリティ担当のサティです。
2月24日、25日に開催された、「サステナブル・ブランド国際会議2022 横浜」に、インテージがブース出展するので、参加してきました。そこで感じた“サステナビリティの今”をレポートします。

「サステナブル・ブランド国際会議」はサステナビリティ(持続可能性)に関する世界最大級の国際会議です。経営戦略にサステナビリティの考えを取り入れることが、企業の競争力とブランド価値を高める上で重要であるという共通認識の下、2006年に米国でスタートしました。日本での開催は、今年で6回目です。2日間を通して延べ4,513人が(現地+オンラインで)参加しました。
インテージは2018年から継続して参加しています。この会議にあわせて、生活者のサステナビリティ意識調査を行い、生活者のSDGsに対する認知や行動の変化を伝えています。

イベントそのものがサステナブル

会場の「パシフィコ横浜」は、バリアフリーなどのアクセシブルな環境整備がされています。ムスリム用礼拝室があったり、施設内で排出される廃棄物の100%リサイクル達成に向けて、細かく分別できるゴミ箱が設置されたりしていました。
運営する株式会社博展の担当者に「サステナブルなイベント」について聞きました。期間限定のイベントは、終えたらブースのセットをすべて撤収するため、廃棄量をいかに少なくするか、リユース対応できるか、また捨てやすい素材にするかがポイントなのだそう。確かに、壊すことを前提に組み立てているので、サステナブルな視点は欠かせないというわけですね。

また、今回は、「イベント全体の温室効果ガスの排出量」を算定するため、参加者には、会場への主な交通手段、出発地、そしてオンライン参加者にも、視聴場所、視聴デバイス、視聴時間を終了後のアンケートで聞いていました。温室効果ガスの排出量を算定するには、ここまでの情報が必要なんだということを学びました。


博展のサステナビリティのブース展示

会場のところどころにあるサステナブルなイベントの取り組み事例

ブースエリア「アクティベーションハブ」

SB横浜のスポンサーとして、サステナビリティの先進企業をはじめ60以上の企業・団体が協賛し、アクティベーションハブと呼ばれるエリアにブースを設置。中央のメインエリアには、プラチナスポンサーのSOMPOホールディングス株式会社とセイコーエプソン株式会社のブースがあり、SOMPOホールディングスは、自社の「パーパス」を全面に打ち出し、セイコーエプソンはファッション・アパレル業界の課題解決に向けたデジタルテキスタイル印刷の服を展示していました。


アクティベーションハブのメインブース

こちらがインテージのブース。


生活者の意識や行動の最新実態のレポートを発信している「知るギャラリー by INTAGE」の紹介や「生活者目線のSDGs×マーケティング」につながるサービスの説明、直近のSDGsに関する調査リリースについて、ブースに立ち寄るお客様と会話しました。多くの企業が、「サステナビリティに関連した製品やサービスを作っても、本当に売れるのか」「生活者はどの程度サステナビリティを意識し、購買の意欲はどの程度あるのか」という世の中の温度感を知りたい様子でした。

さまざまな取り組みを知る機会

ほかの企業はどんな取り組みをしているのか。ブースを見学するのは、今のサステナビリティを知る上で貴重な機会です。
多くのブースで展示されていたのは「脱プラ」「脱炭素」といった環境問題に関する取り組み。パナソニック株式会社は、石油由来のプラスチックの代替え素材として、間伐材、海藻、ワインの搾りかす、コーヒーかすなどを主原料とした植物由来のセルロースファイバーを開発。成形品として実際に触らせてもらったビアカップは木目調で薄さがあり、直感的にオシャレだなと思いました。これは、今年の会議のテーマ「再生(regeneration)」とも合致します。ただ、環境に良いだけで世の中に受け入れられるかという課題はやはりあるようでした。

紙巻たばこメーカーとして広く知られているフィリップモリスジャパン合同会社(PMI)。自社製品が、健康や公衆衛生に害を及ぼすといわれる企業のサステナビリティとは。ブースのパネルには、ミッションとして「紙巻きたばこの終焉を加速する」と書かれていました。現在も紙巻きたばこを販売している状況で、このミッションを掲げるとは、会社としての本気度を感じました。お話を伺うと、紙巻きたばこから加熱式たばこへの切り替えを推進し、煙のない社会を実現するというのを目標にされているとのことでした。たばこ以外に同社のフィルター技術を活用したマスクの開発もしていて、サステナブルなマスクとして50回洗濯をしてもフィルターの性能が変わらない製品をお土産でいただきました。


フィリップモリスジャパンのマスク

製造業以外に目を向け、旅行会社のJTBのブースでもお話をうかがいました。気候変動の具体的な取り組みとして「CO2ゼロ旅行🄬」を推進。旅の中で発生したCO2の分だけグリーンエネルギー価値を購入することで実質ゼロにする、カーボンオフセットの仕組みです。
これは、旅行から環境を学ぶ機会にもなるそうで、学生の修学旅行や、企業の社員旅行などで取り入れられているようです。実はこれ、2008年から行っていて、SDGsが叫ばれるずっと以前から脱炭素の課題に取り組まれていたのだと聞いて驚きました。
どの企業も喫緊の課題である環境に対して高い意識を持ち、その会社「らしさ」を活かした取り組みをされているんですね。

調査からみる「グッド・ライフ」

「Brands for Good」 は「持続可能な暮らしこそが『未来のグッド・ライフ』だ」というストーリーをブランドの力を活用して伝えているグローバルなイニシアチブ。サステナビリティに対する消費者の価値観、行動を調査しており、今年はアジア(日本、韓国、マレーシア、タイ)での調査をインテージグループが受託しました。その調査結果をもとに、「未来に選ばれ続けるブランドになるためには? サステナビリティ意識・行動調査からみる消費者の今」というタイトルのセッションで、生活者の意識や考えをひも解きました。
セッションは、インテージの生活者研究センター田中宏昌が、駒澤大学の青木茂樹氏プロデュースのもと、株式会社電通の田中理恵氏とともに登壇。ほかのアジアの国に比べて、日本人の「環境」や「社会」に対する意識が低く出てしまう理由を国民性や文化的背景の違いなども交えて解説し、意見交換をしました。SDGsという言葉の代わりに、未来、次世代などという言葉を使うとドライブがかかるという考えや、ネガティブ層より行動を起こすアクティブ層に目を向けることが大切だという話が印象的でした。

2030年まであと8年

サステナビリティの今がすべて詰まったようなこの会議。60以上のセッションでは、パーパス経営、ジェンダー平等、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)、脱炭素、サーキュラーエコノミーなどがキーワードでこれらの課題にどう取り組むか真剣な議論がされていました。
参加者は、ビジネスマンが大半でしたが、中には高校生や大学生の姿もありました。Z世代は「SDGsネイティブ」といわれていますが、ここに来ている人は想像以上にサステナビリティのアンテナがはられていて、「社会課題に対して自分たちに何ができるか」という視点を持ち合わせていて驚きました。

2030年のSDGs達成に向けてあと8年です。この会議に参加して、社会を、地球環境を変えていこうとする企業の取り組みを肌で感じることができました。さまざまな社会課題が世界で渦を巻いていますが、今は、ゴール16の「平和と公正をすべての人に」を皆が願っていることと思います。個人の、企業の、世界の最優先課題を考えていくときではないでしょうか。

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