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生理指標やアンケートによる広告短期効果の予測

生理指標やアンケートによる広告短期効果の予測

1. 要約

アメリカの経営者、ジョン・ワナメイカーの名言の1つにこんな言葉がある「広告に使っているお金の半分は無駄になっている。問題はどちらの半分かがわからないことだ」。広告を出稿する前にその広告が有効かどうかを判断できれば、広告費の無駄を減らすことができる。この研究では、効果的な広告を、従来型のアンケート調査や生理指標などを用いて予測することを試みた。生理指標として、発汗(GSR)、指尖脈波(PPG)、脳血流(NIRS)に加え、表情の変化も計測した。各指標を用いたモデルを比較した結果、発汗(GSR)や脳血流(NIRS)とアンケートを組み合わせることでそれぞれの単体の指標を用いるモデルよりも性能が上がった。

 

2. 研究背景

従来のマーケティングリサーチの調査方法であるアンケートやフォーカスグループインタビューなどでは消費者の自己申告によるものが多く、消費者が自分の注意度、感情や好みなどをどれだけ正確に把握し、伝えることができるのかに大きく依存している(Rumen Pozharliev, 2017; Asela A. Burgos-Campero, 2013)。申告するにあたり、消費者は申告する対象となる内容を意識する必要がある。人は刺激を呈示してから300msから400ms経ってから初めて、意識できるようになるが、その間でも、脳内では情報処理が無意識的に行われている(Johansson, 2006)。この無意識的な処理のところが消費者の行動に大きく影響する可能性があり(Zaltman, 2000)、従来の調査方法に加え、脳活動や自律神経の活動を計測するための技術がマーケティング領域にも活用するようになり、2002年には「ニューロマーケティング」という単語がSmidtsにより創られた(Bell, 2018; Asela A. Burgos-Campero, 2013)。
2002年以来、ニューロマーケティングに対する期待や興味が薄れていくことなく、年々発表されている論文の数が指数関数的増加している傾向にある(Cherubino, 2019)。この勢いの背景にあるのは、非侵襲的な計測手法とウェアラブルデバイスの開発により実験室的環境以外での使用が可能になり、より自然な環境での研究を実施することができるようになってきていることがあげられる(Cherubino, 2019)。被験者の負担が少なく、簡易的なデバイスで計測可能な生理指標の一部を表1にまとめた。

 

生理指標 概要
脳波(EEG) シナプス後のニューロンの集団の電気活動を頭皮上に設置する2つの電極の電位差により計測する。2つの電極の内、1つは基準電極として用いられ、ターゲットエリアの影響を受けにくい場所に設置する(Michael D Rugg, 1995)。
脳血流(NIRS) 近赤外光の送光器を頭皮上に設置し、近赤外光が頭皮や頭蓋骨を通過し、大脳皮質に至る。大脳皮質の神経活動に伴い、酸素化ヘモグロビン(oxy Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(deoxy Hb)の量が変化し、近赤外光の吸収率もともに変動し、受光器で通過してきた光の変化を計測する(Herold, 2018)。
心電(ECG) 電極を体表面上につけ、電極間の電位により心臓の電気活動を計測する。交感神経と副交感神経の影響を受ける(三宅 普司, 2017)
指尖脈波(PPG) 赤外線を用いて、血液中のヘモグロビンによる光の吸収量を計測し、血液容積(血管収縮・拡張)を出力し、脈拍の情報を取得することができる。交感神経と副交感神経の影響を受ける(三宅 普司, 2017)。
発汗(GSR) 発汗による皮膚電気活動の変化をとらえる。皮膚電気活動は刺激なしでゆっくりと変化するtonic変化と刺激に対して急激に変化するphasic変化から構成されている。交換神経の影響のみ受ける(三宅 普司, 2017)。
表情解析 ウェブカメラで取得した映像から、アクションユニット(顔の表情動作の最小単位)と感情指標を計測する

表1 簡易的で計測できる生理指標一覧

 

Plassmann et al.(2015)によると、脳活動などの生理指標はマーケティング領域においての応用の可能性として消費者又は市場の行動予測を改善することがあげられている。Berns et al.(2012)は少人数の被験者の脳活動指標を用いてミュージックアルバムの3年間の売り上げの予測を行った。また、Christoforou(2017)年は映画の市場での成功を、映画予告編を見たときの少人数の被験者の複数の生理指標を用いて、予測し、その精度は従来の調査方法を用いるよりも改善が見られたと報告した。生理指標を用いることで刺激に対する認知過程におけるバイアスを受けない客観的指標は、従来の手法から得たデータよりも、ノイズの分散が小さく予測精度の改善につながることが期待できる(Christoforou, 2017)。
本研究では、マーケティングの施策のなかで顧客とのコミュニケーションを担う広告の有効性を、簡易的な生理指標計測デバイスや従来の調査手法であるアンケートを用いて予測し、予測性能の改善につながる指標を調べた。ここで扱う広告の有効性は、Jones(1995)が考案した広告短期効果、STAS(Short-term Advertising Strength)を採用した。シングルソースパネルのデータを用いることで消費者の広告接触状況と購買データを照合することが可能になり、購入までの一週間以内に広告に接触した人と広告に接触しなかった人の割合を計算し、広告短期効果を割り出すことができる。具体的な計算は以下の通り:

 

昨日購入した 昨日購入しなかった 合計
一週間以内に広告を見た 208 406 614
一週間以内に広告を見なかった 361 1289 1650
合計 569 1695 2264

 

 

3. 研究目的

少数人数のグループに複数の広告を見せ、取得したいくつかの生理指標やアンケートデータから、その広告の市場での広告短期効果(STAS)を予測し、それぞれの指標を用いたモデルの性能を比較することを目的とした。

 

4. 実験方法

計測機材を装着後、被験者に調査の流れを説明し、椅子に座った状態で計34本の広告を視聴させた。具体的には、34本の広告を2つのブロックに分け、1つのブロックの中に17本の広告があり、1ブロック終わったら、次のブロックに入る前に休憩を挟んだ。各ブロックの流れは15秒のレストタイムの後、広告を1本視聴、広告に関するアンケートに回答、の流れを17回(広告17本分)繰り返し、最後にいくつかのタスクを行わせてから、広告に関する純粋想起タスクを実施した(図1)。機材の装着完了から34本目の動画視聴に関するアンケートに回答し終えるまで、生理指標を計測し続けた。

 

図1

図1 実験の流れ (Venkatraman, 2014)に基づき

 

4.1 実験参加者

インターネット調査で募集した関東圏在住の20~30代の健康な男女41名(男:21名、女:20名)を都内の調査会場に呼集し、倫理審査に基づく実験参加許諾を得た上で調査を実施した。

 

4.2 生理指標

本研究では被験者の負担と今後の運用を考慮し、簡易的なウェアラブルデバイスで計測することが可能な生理指標を計測することに決めた。使用した機材を下記の表2にまとめた。

 


機器 生理指標 概要
HOT-2000 脳血流(NIRS) ・前額部の左右2か所の脳活動を計測する
・Bluetoothで計測が可能で、配線などを考慮する必要はない
・デバイスを額に設置し、ストラップで調整することができ、手軽に計測することが可能である
・サンプリングレートは100Hzである
Shimmer3 GSR 指尖脈波(PPG) ・1つのデバイスで2つの生理指標を計測することができる
・親指にセンサーを巻いてPPGを計測する
・人差し指と薬指にそれぞれ電極を当てて、GSRを計測する ・Bluetoothで計測が可能で、配線による制限を考慮する必要はない ・サンプリングレートは128Hzである
発汗(GSR)
Affectiva 表情解析 ・ウェブカメラで取得した映像から、20つのアクションユニット(顔の表情動作の最小単位)と7つの感情指標を計測する
・サンプリングレートは32Hzである

表2 生理指標計測に用いた機器一覧

 

それぞれの生理指標から抽出した特徴量は下記の表3に示した(詳細は付録【1】)

 

機器 生理指標 抽出した特徴量
Shimmer GSR 指尖脈波(PPG) sdNN, meanNN, CVSD, cvNN, RMSSD, medianNN, madNN, mcvNN, pNN50, pNN20
*タスクの時間が短いため、周波数領域の指標は計算しない
10
発汗(GSR) meanPhasic, stdPhasic, countPeak, meanAmp, stdAmp 5
Hot-2000 脳血流(NIRS) meanRight, stdRight, meanLeft, stdLeft 4
Affectiva 表情(FE) 顔の表情動作の最小単位の平均値と標準偏差×20
Attention: 平均値と標準偏差
42
感情(E) 感情の平均値と標準偏差×7
Valence:平均値と標準偏差
Engagement:平均値と標準偏差
18
合計 79

表3 各生理指標から計算した特徴量

 

4.3 広告

使用した広告は広告短期効果を計測するために、FMCGの広告に絞った。また、実験の時間的制限や被験者の疲労度を考慮し、広告の長さを15秒~30秒のものに限定した。購買データに影響し得る新商品や季節性の除外と広告短期効果にばらつきのあるデータを確保するために、インテージが保有するMedia Gauge(スマートテレビ機器ログ)とSRI(全国小売店パネル)データを用いて、さらに広告を絞った。使用したMedia Gaugeのデータは時系列データであり、商品名や広告の出稿本数のデータが含まれているに対し、SRIデータはスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの商品の販売情報を含まれているものである。また、今回対象となるデータは2017年5月から2019年5月の2年間のデータである。選定した広告の出稿本数もできる限り近いものになるように広告を抽出した(表4)。

 

製品カテゴリ 本数
低関与変換型
(感覚的な満足度を与える商品)
ビール 5
チョコレート・菓子 6
インスタントラーメン 4
コーヒー・お茶 4
低関与情報型
(問題・不満を解決するための商品)
洗濯用洗剤 5
洗濯用柔軟性 5
食器用洗剤 1
住居用洗剤 3
芳香剤 1

表4 選定した広告の概要

 

4.4 アンケート

前述の工程で、広告視聴直後に聴取したアンケート設問は以下の表5の通りである。

 

設問概要 回答形式
広告好意度 「非常に好き~全く好きではない」の7段階から単一回答
購入意向 「非常に買いたい~全く買いたくない」の7段階から単一回答
広告要素評価:
映像、音楽、タレント
「非常に好き~非常に嫌い」の5段階から単一回答
広告のイメージ:
面白い、共感できる、活発な、かわいい、テンポが良い、インパクトがある、興味がわく
「非常にそう思う~全くそう思わない」の5段階から単一回答
広告の印象:
セリフやナレーション、テロップ、商品名、商品特徴、商品パッケージ
「非常に印象に残る~全く印象に残らない」の5段階から単一回答
広告詳細評価:
広告と商品のイメージがあっている、広告の内容が理解しやすい、自分にとって役に立つ情報がある、商品について調べたくなる、商品について他の人に伝えたい、商品名に愛着を感じる
「非常にそう思う~全くそう思わない」の5段階から単一回答

表5 アンケート設問一覧

 

これらのアンケート回答からインテージの広告クリエイティブ評価、「AD COMPASS」の指標である「Anchor Index」と「Motivation Index」を算出した。「Anchor Index」は広告の印象を検証した広告認知指標、「Motivation Index」は情報循環(情報拡散・検索)への影響を測る態度変容指標を指している。

 

4.5 広告短期効果(STAS)の算出

本研究では、STASの計算にあたりインテージが保有するシングルソースパネル、i-SSP(Intage Single Source Panel)、のデータを活用した。i-SSPのデータは同一人物からPCやテレビなどのメディア接触ログと購買の時系列データからなる。広告短期効果の算出において2017年5月から2019年5月までのデータを用いた。また、広告接触の人数や購入者の人数を確保するため、購入の4週間以内前に広告接触する人に絞り(Taylor, 2013)、条件を緩和した上で広告短期効果を計算した。

 

5. 実験結果

41人中のデータから、どのCMに対しても同じ回答をする2名のデータを解析から除去した。また、生理指標のデータが正常の範囲を超えたデータまたは機械の不具合によるデータ損失がある4人分の全CMデータ、2人分の17個のCMデータ、一人分の1個のCMデータも合わせて解析から除外した。

表情解析から抽出した指標のほとんどはどのCMにおいてもあまり変化がなく、変化のあった「InnerBrowRaise」と「EyeClosure」以外の指標は解析から外した。さらに、目的変数であるSTASの計算にあたり、広告接触人数または商品の購入人数が極めて少ないために妥当なSTASの値が算出できない9CM、と他のCMと異なり登場人物がいない1CMを解析から除外した。

 

5.1 広告短期効果(STAS)の要約

解析対象となった24CMのSTASの集約を以下の表6にまとめた。

 

統計量
平均 1.181375
標準偏差 0.414194
最小値 0.609320
第1四分位点 0.864093
中央値 1.098660
第3四分位点 1.414093
最大値 2.060860

表6 算出したSTASの要約

 

上記のSTASを先行研究のアメリカ、イギリスとドイツのSTASと比べると、中央値はこの3か国と近い値になっていることが分かる。最大値はアメリカよりも低く、イギリスとドイツよりも高い。最小値はどの国に比べても低い(表7)。

 

アメリカ イギリス ドイツ
最大値 2.36 1.84 1.54
中央値 1.08 1.07 1.01
最小値 0.73 0.73 0.83

表7 アメリカ、イギリスとドイツのSTAS(Jones 1998)

 

5.2 各指標の関係

各指標から抽出した特徴量の相関行列のヒートマップ(図2)を見ると、同じ指標から抽出した特徴量はお互い強い相関が見られ、ブロックが指標毎に分かれていることがわかる。それぞれの指標に含まれている情報が異なっていることが考えられる。尚、NIRSから抽出した指標をみると、他の生理指標に比べて、アンケートデータのいくつかの項目に対し強い相関関係にあることも見て取れる。

 

図2

図2 各指標の特徴量の相関行列のヒートマップ

 

5.3 STASに対してのロジスティック回帰

各広告の効果があるか否かは、ロジスティック回帰分析によって、どの指標がより効果を予測することができるのかについて調べた。前処理として、5.1で算出したSTASの値を、中央値を基準にし、二値化を行った。また、各指標の特徴量の中でも、相関が高いものがあり、モデルに使用する特徴量の選定を行った(表8)。ロジスティック回帰分析を行う上で、どのパラメータを説明変数として採用するかは赤池情報量基準(AIC)を用いて決定した。

 

生理指標 モデルに使用した特徴量
指尖脈波(PPG) sdNN, meanNN, RMSSD, pNN20, pNN50
発汗(GSR) meanAmp, stdAmp, Peak/sec
脳血流(NIRS) meanRight, stdRight
表情解析(FE) meanEyeClosure, meanInnerBrowRaise
アンケート(Survey) CM_Liking, Product_Buying_Intention_Label, Recall_CM, Anchor_Index, Motivation_Index

表8 モデル構築にあたり使用した特徴量

 

各指標を用いたモデルの性能(図3)を見てみると、表情解析や脈波のデータのみを使ったモデルはSTASをチャンスレベル以上に予測することができない。NIRSの特徴量のみを使ったモデルは大幅な改善は見られないが、GSRのみのモデルとアンケートのみのモデルの性能はチャンスレベルよりも大幅に性能が上がった。アンケートの特徴量とNIRSやGSRの特徴量を合わせることで、単体の指標よりも性能が良くなることが確認できた(各モデルの詳細は付録【2】にて)。

 

図3

図3 各指標を用いたモデルの性能の比較

 

6. 考察

本研究では、広告短期効果の予測を行うため、NIRS、PPG、GSRと表情解析の複数の生理指標を計測し、購入意思や情報検索等の行動や印象に関するデータを、アンケートを通じて取得した。計測した生理指標の中で、表情解析のデータにばらつきがなく、20個のアクションユニットのデータの内、「InnerBrowRaise」と「EyeClosure」のデータのみ解析に用いた。それぞれの生理指標よりいくつかの特徴量を抽出したが、同じ指標から抽出した特徴量はお互いと強い相関関係にあり、情報が重複していることがわかった。しかし、指標間で比較すると、NIRSとアンケート指標を除き、お互いとの相関は弱く、各指標は異なる情報を計測していると考えられる(図2)。
それぞれの指標から抽出した特徴量より相関係数が高いものを除き、ロジスティック回帰を用いて、広告短期効果の予測を行った。AICにより説明変数の採用を行ったとき、PPGや表情解析からの特徴量は最終モデルに残らず、広告短期効果の予測には効果はなく、null model(付録【2】)が採用された。一方、NIRS、GSRやアンケートの指標のモデルはチャンスレベルを上回る精度で広告短期効果を予測することができ、その精度はNIRSまたはGSRの指標をアンケート指標と組み合わせることでさらに向上した。
モデルの結果から、広告短期効果の予測のタスクに対して、ある程度の成果は得られたが、本研究で扱ったデータから一般化にあたりいくつかの課題を乗り越える必要がある。今回対象とした広告は、季節性を排除するために特定の期間の中で出稿したものに限定している上に、対象となる商品は販売されている商品で、新商品に関する広告は含まれていない。より汎用性の高いモデルを構築するために、季節性や広告の目的を考慮する必要がある。また、選定した広告の中にサンプルサイズが少ないため、妥当なSTASが計算できないものもあり、広告の選定や対象となる被験者の条件を見直すことも重要である。

 

7. 今後の展望

広告短期効果を予測するモデルのさらなる発展可能性として、アンケート、NIRSやGSRの活用が考えられるが、課題も残っている。今後に向けて、モデルの信頼性、妥当性や一般化を確保するために、データ数を増やす必要はあるが、より大事なのは課題を解決するための対策を考える必要がある。季節性のある商品の広告、例えば夏や年末年始に数多く売れるアルコール飲料、は水野(2005)が考案した季節性の効果を考慮したSTASを用いることより多くの広告に適用できる可能性がある。

 

8. 著者

アフィカ アディラ*1
*1:株式会社インテージ 開発本部 先端技術部 先進グループ

 

引用文献

Asela A. Burgos-Campero, J. G.-H. (2013). Analitical Approach to Neuromarketing as a Business Strategy. Procedia - Social and Behavioral Sciences.

Bell, L. V. (2018). Beyond Self-Report: A Review of Physiological and Neuroscientific Methods to Investigate Consumer Behavior. Frontiers in psychology, 9, 1655.

Berns, G. &. (2012). A Neural Predictor of Cultural Popularity. Journal of Consumer Psychology, 22(1), 154–60.

Cherubino, P. M.-L. (2019). Consumer Behaviour through the Eyes of Neurophysiological Measures: State-of-the-Art and Future Trends.l . Computational intelligence and neuroscience, 2019, 1976847.

Christoforou, C. P. (2017). Your Brain on the Movies: A Computational Approach for Predicting Box-office Performance from Viewer's Brain Responses to Movie Trailers. Frontiers in neuroinformatics, 11, 72.

Herold, F. W. (2018). Applications of Functional Near-Infrared Spectroscopy (fNIRS) Neuroimaging in Exercise⁻Cognition Science: A Systematic, Methodology-Focused Review. Journal of clinical medicine, 7(12), 466.

Johansson, P. L. (2006). How Something Can Be Said about Telling More Than We Can Know: On Choice Blindness and Introspection. Consciousness and Cognition, 15 (4), 673–92.

Jones, J. P. (1995). When Ads Work: New Proof that Advertising Triggers Sales. New York: Lexington Books/The Free Press.

Michael D Rugg, M. G. (1995). Electrophysiology of mind. Oxford University Press Inc.

Plassmann, H. &. (2015). Consumer Neuroscience: Applications, Challenges, and Possible Solutions. Journal of Marketing Research. 52. 150109125622007. 10.1509/jmr.14.0048. .

Rumen Pozharliev, W. J. (2017). Social Consumer Neuroscience: Neurophysiological Measures of Advertising Effectiveness in a Social Context. Journal of Advertising, 46:3, 351-362.

Taylor, J. &. (2013). Is the Multi-Platform Whole More Powerful Than Its Separate Parts? Measuring the Sales Effects of Cross-Media Advertising. Journal of Advertising Research.

Venkatraman, V. &. (2014). Predicting Advertising Success Beyond Traditional Measures: New Insights from Neurophysiological Methods and Market Response Modeling. Journal of Marketing Research. 52. 150619071651008. 10.1509/jmr.13.0593.

Zaltman, G. (2000). Consumer Researchers: Take a Hike! Journal of Consumer Research, 26 (4), 423–28.

三宅 普司. (2017). 商品開発・評価のための生理計測とデータ解析ノウハウ~生理指標の特徴、測り方、実験計画、データの解釈・評価方法~ ~. (株)エヌ・ティー・エス.

水野 誠、竹村 滋芳、星野 崇宏. (2005). TV広告の購買に対する短期効果の検証 : 傾向スコアの応用(好みの計量). 日本行動計量学会大会発表論文抄録集.

 

付録

【1】各生理指標から抽出した特徴量の概要:

生理指標 特徴量 概要
指尖脈波 meanNN 拍と拍の間隔(RR間隔)の平均
medianNN 拍と拍の間隔(RR間隔)の中央値
madNN 隣り合ったRR間隔の絶対偏差の中央値
mcvNN madNN/medianNN
RMSSD 隣り合ったRR間隔の差の二乗平均の平方根
CVSD RMSSD/meanNN
sdNN RR間隔の標準偏差
cvNN sdNN/meanNN
pNN20 隣り合ったRR間隔の差の中で20msec以上の値の割合
pNN50 隣り合ったRR間隔の差の中で50msec以上の値の割合
発汗 peak/sec 1秒間に発生するピークの数
mean_amp 発生したピークの振幅の平均
std_amp 発生したピークの振幅の標準偏差
meanPhasic 皮膚伝導反応の平均
stdPhasic 皮膚伝導反応の標準偏差
脳血流 Right_HbT_mean 右前額部のヘモグロビン濃度の平均
Right_HbT_std 右前額部のヘモグロビン濃度の標準偏差
Left_HbT_mean 左前額部のヘモグロビン濃度の平均
Left_HbT_std 左前額部のヘモグロビン濃度の標準偏差
表情 Attention_mean 注意度(カメラに向いている)の平均
Brow Furrow_mean 「眉を下げる」平均
Brow Raise_mean 「眉の外側を上げる」平均
Cheek Raise_mean 「頬を上げる」平均
Chin Raise_mean 「顎を上げる」平均
Dimpler_mean 「靨を作る」平均
Eye Closer_mean 「目を閉じる」平均
Eye Widen_mean 「目を大きくする」平均
Inner Brow Raise_mean 「眉の内側を上げる」平均
Jaw Drop_mean 「顎を下げ、口が開く」平均
Lid Tighten_mean 「目を細くする」平均
Lip Corner Depressor_mean 「唇の両端を下げる」平均
Lip Press_mean 「唇を押さえつける」平均
Lip Pucker_mean 「唇をすぼめる」平均
Lip Stretch_mean 「唇の両端を横に引っ張る」平均
Lip Suck_mean 「唇を吸い込む」平均
Mouth Open_mean 「口を開ける」平均
Nose Wrinkle_mean 「鼻にしわをよせる」平均
Smile_mean 「笑顔」平均
Smirk_mean 「唇の左右のどちらかの口角を上げる」平均
Upper Lip Raise_mean 「上唇を上げる」平均
感情 Anger_mean 「怒り」の平均
「眉を下げる」、「目を細くする」、「目を大きくする」、「顎を上げる」、「口を開ける」、「唇を吸い込む」の動きによって値が上がる
Contempt_mean 「軽蔑」の平均
「眉を下げる」、「口角の左右のどちらかを上げる」により、値が上がる
Disgust_mean 「嫌悪」の平均
「はなにしわをよせる」、「上唇を上げる」により、値が上がる
Fear_mean 「恐怖」の平均
「眉の内側を上げる」、「眉を下げる」、「目を大きくする」、「唇を横に引っ張る」により、値が上がる
Joy_mean 「喜び」の平均
「笑顔」により値が上がる
Sadness_mean 「悲しみ」の平均
「眉の内側を上げる」、「眉を下げる」、「唇の両端を下げる」により、値が上がる
Surprise_mean 「驚き」の平均
「眉の内側を上げる」、「眉の外側を上げる」、「目を大きくする」、「顎を下げ、口を開ける」により値が上がる
Valence_mean 「肯定的表情/否定的表情」の平均
肯定的表情により値が上がる
Engagement_mean 「表情の豊かさ」の平均
表情の値が上がることにより値が上がる

 

【2】各指標を用いたモデルの詳細:

モデル

特徴量
FE
PPG(Null Model)
Nirs GSR Survey
FE&Survey
PPG&Survey
Nirs
Survey
GSR
Survey
Intercept -4.532e-17 -0.06792 -0.2573 -2.161 -2.019 -2.985
FE meanEyeClosure
meanInnerBrowRaise
PPG sdNN
meanNN
RMSSD
pNN20
pNN50
Nirs meanRight
stdRight -3.73911 -6.202*
GSR meanAmp
stdAmp 3.7955* 3.579*
Peak/sec -3.7658
Survey CM_Liking 7.283* 9.742*
Product_Buying_
Intention_Label
-6.550* -8.568* -2.907
Recall_CM 11.649* 13.188*
Anchor_Index
Motivation_Index
評価
指標
AIC 35.271 34.638 25.692 32.669 30.59 25.394
McFadden R2 0.000 0.079 0.259 0.259 0.381 0.417
Accuracy 0.500 0.625 0.739 0.708 0.833 0.826
AUC 0.500 0.674 0.902 0.826 0.882 0.841

Life Insights, Research Areas