スマートフォン広告の注視及びエンゲージメントの指標化に向けた研究
要旨:デジタル広告市場が拡大を続ける一方で、それを受け取る生活者の93%はスマホ広告に対して「わずらわしい」と感じている状態です(*弊社調査より)。そこで、普段のスマホ利用時の視線や表情の取得ができるか?取得した視線・表情データから生活者視点に立った広告評価指標が構築できるかを研究した。
・研究背景
デジタル広告市場が拡大を続ける一方で、テレビを見ながらスマホを利用する「ながら見」やアドフラウド問題から、広告主側には「生活者が、本当に広告を見たのか?」という課題が発生しております。
また、生活者側でも93%の人がスマホ広告に対して「わずらわしい」と感じており、「そのデジタル広告が本当に生活者に求められている?」を表す確立された指標も存在しません。そこで、広告主側にとって自社のデジタル広告が本当に生活者に見られたか、そして、生活者側に自身にとって価値ある広告が流れているのかを評価できる環境を構築し、広告主と生活者のWin-Winの関係で繋ぐ指標を構築すべく本研究を行った。
・研究目的
上記課題背景をもとに、本実証実験では以下を目的に研究を行った。
今回の実証実験ではウェブレッジ社のFACT4(スマホ内蔵のカメラでユーザーの視線・感情を読み取り、サービスを評価・検証するアプリhttp://fact4.info/)を使って研究を行った。
・研究内容と結果
(1)研究内容
まずウェブレッジ社と共に疑似的な動画配信アプリを制作し、その中に視線・表情取得モジュールを搭載。アプリ利用時における視線・表情を取得することができるのかを確認した。
更に、そのアプリの中に随時デジタル広告をウェブレッジ社から配信。そのアプリをインテージ社員およびウェブレッジ社社員に日常生活の中で利用してもらうことで、アプリ利用時に視線・表情を常時収集し、こちらから配信したデジタル広告が本当に見られたのか?表情として反応したのか?を実験した。また、アプリ利用した両社社員に対してアンケートを実施、流したデジタル広告に対する認識や印象、評価を収集、視線・表情データと合わせて指標化の可能性を検討した。
図1:実証実験イメージ
(2)研究結果
研究の結果、スマホ利用時における視線・表情を取得する技術を構築することができた。
またそのデータをもとに、スマホアプリ利用時におけるデジタル広告の評価指標を(1)滞在、(2)視認、(3)注視、(4)反応の4つの指標を一定構築することができた。その結果、既存ビューアビリティと実際にスマホ画面の前への顔の(1)滞在、(2)視認との関係を確認することができた。
図2:実証実験で構築研究した指標
・今後の展望
今回の結果を通じて、スマホへのデジタル広告に対する画面前への顔の滞在、視認等について指標と実態を把握することができた。今後は、両社で視線・表情収集機能の向上や環境構築、また、既存アプリへのテスト組込みを通じた、デジタル広告への滞在、視認等の取得可能性等について検証などを検討している。