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物体検知を応用したブランドロゴ検知デモ

物体検知を応用したブランドロゴ検知デモ

要旨:インテージは100万件以上の商品データや売上データを保有しており、画像解析技術の応用による商品やブランドの自動的な検知を行うことで、例えばソーシャルメディアなどにアップロードされる画像や動画に対してリアルタイムで付加情報を付与するなど、マーケティング活動における工数の削減、業務の自動化の可能性が考えられる。

 

・研究背景

インテージは100万件以上の商品データや売上データを保有しており、画像解析技術の応用による商品やブランドの自動的な検知を行うことで、例えばソーシャルメディアなどにアップロードされる画像や動画に対してリアルタイムで付加情報を付与するなど、マーケティング活動における工数の削減、業務の自動化の可能性が考えられる。また、テレビ番組やCM、動画共有サイトなどでの商品の露出度の計測など、従来は人への負荷が高かった作業も効率的に行うことができるようになる。

 

・研究目的

今回は、日本市場において画像データ、商品データ、売上データ、画像解析エンジンを保有している企業が少なく、また、プロトタイプの開発にスピード感が求められていたこともあり、ブランドロゴ検知エンジンの開発を試験的に行った。

 

・研究内容と結果

使用したニューラルネットワークは一般的に畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network; CNN)と呼ばれるもので、主に、画像処理の分野で使われるようなフィルターレイヤーと活性化関数を複数層重ねたものと、最終的に物体認識の結果と座標を出力する出力層で構成されている。一般的な物体検知タスクにおいて高いスコアを出すことが知られているモデルをいくつか選択し、ブランド検知タスクへの適用を行った。具体的には、各モデルを予め一般的な物体検知タスクをこなせるように学習させておき(事前学習)、その上でブランドロゴの学習を行った。学習・検証用のデータセットにはみんレポから取得した商品が含まれる画像にラベルを付与したものを各ブランド10~100枚程度準備し、利用した。

実環境ではデスクトップ機での利用だけでなく、スペックの限られるスマートフォンやタブレット端末での利用も行われることを考慮し、一部のモデルについてはスマートフォン向けアプリへの搭載も行った。モデル自体はデスクトップ(サーバ)側で学習させておき、学習後のパラメータのみをスマートフォン用に加工しアプリに搭載した。アプリにモデルを搭載させることで、画像や動画を撮影してクラウドにアップロードし検知するという手間を省くことができ、通信量の減少や、ユーザの手元でのブランドロゴ検知から間を開けずにコンテンツの提示といったことが可能になる。

 

図1:タブレット端末のカメラを使ったデモ

 

全体的に、事前学習が適切に行われていれば、ブランドロゴの検知については学習用データが比較的少数であっても、ある程度の精度で実現できることが確認できた。また、一部のモデルについては、一般的な性能のスマートフォンでもリアルタイムにブランドロゴの検知が行えることが確認できた。一方、画像中で比較的小さなロゴや、特徴が少ないロゴについては、検知精度に課題が残った。

 

・今後の展望

他カテゴリのブランドへの拡張や、形状認識などの機能拡張が考えられる。また、店頭の商品棚の画像の解析への応用も考えられる。

 

Life Insights, Research Areas