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小々馬ゼミと3世代(ミレニアル・Z・アルファ)の共同研究

小々馬ゼミと3世代(ミレニアル・Z・アルファ)の共同研究

インテージグループR&Dセンターでは、本年度よりZ世代リサーチ研究分科会を中心にインテージグループの複数の会社で連携し、産業能率大学の小々馬 敦 教授とZ世代を中心としたミレニアル世代・アルファ世代を含めた3世代研究を開始しました。※1

この研究では、今後の消費の中心として注目を集めるZ世代※2と、その次に来る“生まれたときからデジタルに慣れ親しんでいるアルファ世代の情報接触・価値観・消費行動を様々な調査を通して理解を深めることを目的としています。本研究では、世代の区切りは、若者を理解するひとつの切り口として活用しています。分析は、年齢、職種、学年などいくつかの区切りを設け、世代に捉われず、視野を広げて解釈するように心がけています。

まず、小々馬ゼミで提唱された若者世代の消費者行動モデル「EIEEBモデル」を定量的に検証しました。加えて、情報接触・価値観・消費行動の世代間比較も実施しました。今回は、この結果を現役のZ世代に共有し、モデルが支持された理由や具体的な行動、次の世代であるアルファ世代との違いをディスカッションしました。

 

 

情報との出会いの多様化

定量調査の結果、情報との出会いや情報収集において、Z世代は、通販サイトや価格比較サイトを見る割合がミレニアル世代やX世代よりも低いこと、逆にSNSのタイムライン以外からも、自発的に情報検索を行う割合が高いことがわかりました。この結果は、現役Z世代も頷く結果だったようです。
「洋服や靴を買うときになんとなくSNSを見て、ファッション系のインスタグラマーの投稿からなんとなく何が欲しいかあたりを付けてからファッションアプリで具体的に検索します。」
「SNSの自分のフォロー以外の検索欄におすすめで表示される複数の投稿は、フォローしているインフルエンサーと系統が似ているのでおすすめ投稿から買いたいと思うこともあります。」

一方で、どんな時に通販サイトや価格比較サイトを見るか伺ったところ
「家電製品をSNSで調べるとPRが多かったので、インターネットで調べてブログ記事を中心に情報収集をしました。」
「地方のホテルをハッシュタグで調べてもほとんどなかったから宿泊先の複数の比較サイトで調べました。」
「高額美容家電製品(20万円程度)は、比較サイトでどこが安いか、詳細スペックを調べて、製品が絞れたのでSNSで実際に使用していて、他製品との比較もしている投稿を見ました。」

買いたいものと出会う場の中心がSNS(タイムライン以外も含む)であり、ある程度、欲しい物が具体化された時点で通販サイトや価格サイトを利用することがわかりました。一方で、SNSで情報が得られない(得ることが難しい)商材の場合、通販サイトや価格比較サイトで調べるが、複数サイトを利用したり、SNSと行き来することで購入の判断を固めている様子がわかりました。

 

Z世代とアルファ世代の違い

情報接触・価値観・消費行動についてのアンケート調査の結果、アルファ世代が使用できるデバイスとして、スマートフォンは他世代よりも少ないものの、タブレット・ゲーム機は他で有料・無料動画をよく見る人の割合がテレビでテレビ番組をよく見る人よりも上回りました。さらに、ゲームをよくやり、スマートフォン・タブレットで動画をよく見る人を加えると40%強が動画をよく見るクラスターに分類されます。

この結果について、
「いとこがアルファ世代です。その子はTVCMやおもちゃ屋さんではなく、YouTubeから欲しい物を見つけていました。」「静かにしてほしい時に保護者が動画を見せるときもあります。」

など、幼い時から動画が生活の一部になっている情報を伺いました。また、
「高校生の時、SNSをきっかけに知り合った友達と会ったとき、保護者に怒られたが、弟(現在高校生)は、タブレットでオンライン上の友達とボイスチャット等をしていて、その友達に会うといったときの保護者は気を付けてね~程度だったので、保護者も子どもがデバイスを使用することに慣れてきていると思います。」

と、時代の影響による効果についての言及もありました。

 

今回、定量調査で得られた客観的な結果について、現役のZ世代とディスカッションすることでどうしてこのような結果が得られたかの理由付けや裏付けにあたる意識や行動を考察することで、数字だけでは見えてこない意識や行動の理解促進や説明力の強化、新たな仮説の発見に繋がりました。

 

※1:一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会 マーケティング・リサーチ綱領 第17条に定められている通り、中学生以下の協力者は、保護者の同意・同伴を得た上で調査を実施しました。

※2:McCrindle, Mark; Wolfinger, Emily (2009). The ABC of XYZ: Understanding the Global Generations (1st ed.). Australia. p. 199–212. ISBN 9781742230351. See excerpt "Why we named them Gen Alpha"

 

・小々馬 敦 先生プロフィール

産業能率大学 経営学部教授

日経広告研究所「ESG経営と広告コミュニケーションプロジェクト」研究員
I&SBBDOでの広告実務を経て、ブランド経営のコンサルタントに従事。
インターブランドジャパン エグゼクティブ・コンサルタント、電通プロフェット日本代表、フューチャーブランド代表取締役社長を歴任し、2013年より現職。
国内外企業の無形資産価値経営、パーパス経営とブランディング、マーケティングの連携を支援。
大学の研究室は、2019年より(公社)日本マーケティング協会との共催で、実務家と大学生が世代を超えて未来のマーケティング・メディア・広告の有り様について対話する『ミライ・マーケティング研究会- 無料公開セミナー』を主宰運営している。
https://www.kogoma-brand.com/mirai-marketing/

 

・著者プロフィール

小林 春佳
株式会社インテージ
事業開発本部 先端技術部 技術開発2グループ


生体計測をメインとするマーケティングリサーチャー、コンサルタントを経て、2019年インテージ入社。先端技術部にて行動科学分野の知見を活かした研究開発や新規事業開発に従事。

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