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アカデミアと連携した技術活用支援を目的とした社内セミナーの開催 第五回

アカデミアと連携した技術活用支援を目的とした社内セミナーの開催 第五回

昨年に引き続きに続き、現場起点の技術情報発信プロジェクト「テクノロジーとマーケティングセミナー」が今年度も開催されました。今回は、第五回目のセミナー概要を紹介します。
このセミナーでは、「現場支援」を目的としており、外部講師をお招きして、事業課題の解決に資する学術知見を共有いただきます。具体的に理解を深めるため、関係性の高い事業領域担当者と外部講師とのディスカッションの機会を設けることで参加者に明日にでも活用できる知見を提供する社内セミナーです。

 

-昨今の新型コロナウイルスなど不確実性の高い状況や、変化が早い市場では現場判断が重要になり、このような状況での現場判断をどのように行えばいいのか。そして、現場のみではなく、組織的に判断していくためにはどのように対応する必要があるのか。OODAループとPDCAの利点・欠点を理解し、組織で併用するためのヒントをご教授いただきました。

現場での判断と行動を促す組織のつくり方 -OODAループの戦略策定と活用術-
① OODAループの現場での実践について
  ―OODAループの概略:観察判断の重要性とは?
② OODAループの組織的な実践について
  ―OODAループを組織的に活用していくためには?

 

 

 

【外部講師】

神戸大学大学院 経営学研究科 教授 原田 勉先生

 

【ディスカッションメンバー】

インテージ社員 2名

 

【概要】

インテージグループの主な事業領域であるマーケティング支援は、不確実性が高く日々変化していく市場に対応する必要があります。このような状況化では、OODAループを実践していくことが鍵となります。このような背景から、現場での観察・判断の重要性について理解を促すことを目的とし、外部講師をお招きしたセミナーを行いました。外部講師のご講演では、前半・後半に分け、「OODAループの現場活用」・「OODAループの組織的活用」と題して、実例を多く交えて、若手・マネージャーともに実務に活かせるようなお話をされました。
原田先生は、まずOODAループについての概略・歴史を紹介され、OODAループの考え方を学んだあとに、具体的な実例を挙げつつビジネスでの実践方法について説明されました。そして、OODAループの鍵となる判断の部分では、直観が非常に大事であることをご教授くださいました。直観というのは、潜在意識の意識化であり、潜在的にどのようなものが記憶されているか、多様な記憶が豊富にあるかが重要であるという点が興味深かったです。後半では、組織的にOODAループを実践していくために、PDCAとの違いを明らかにし、非定型の仕事が多い現場レベルではOODAループを、定型的仕事が多い管理レベルではPDCAサイクルを活用して仕組化することを提言されました。

 

-マネジメント職のインテージメンバーと原田先生で討論を行いました。

ディスカッションでは、インテージグループでのOODAループとPDCAの実践についての事例を紹介しつつ、マネジメントをする際にあった悩みや、OODAループを実践する際のマネージャーの在り方などについて議論しました。
マネージャーの事業課題の悩みとして、「現場のスキル・直観が大事になるなかで、それを育てるにはどうすればよいか」について、原田先生は「観察の質を上げること」と「ポジティブデビエンス」の2点の考え方を言及されました。「観察の質を上げること」は、感情・体験を伴った記憶は残りやすいと言われているため、あえて対面でディスカッションすることなどが挙げられます。「ポジティブデビエンス」は、劣悪な環境にいるなかでも平均以上に良い成績を残す人の行動特性を学ぶことが育成につながると提言されました。
また、「個人がOODAループを回していく際に行き当たりばったりではなく成果につながるようにするために気をつけるべきことは何か」という質問に対し、OODAループは「失敗」が前提にあることを示唆されました。その中で失敗に耐えられる力(ポジティブシンキング)と、失敗から学ぶ力(失敗する度に考える感性)を身に着けることが重要であるとアドバイスをいただきました。

 

-OODAループを実際の業務に活用するイメージを参加者も感じていました。

「マネージャーも許す心が大事そうですね。チャレンジすることは奨励して、考えないことに叱咤する感じですかね。」
「四半期、単年のPDCAサイクルというトレッドミルに乗りながら、OODAを行っていく。失敗を必ずしますよね。だからこそ心理的安全性は本当に大事だと思います。」
「ポジティブデビアンスや、失敗に耐える力(ポジティブシンキング)、いずれも部下や同僚への関心を高めることが重要そうですね。」

 

・原田勉先生プロフィール

神戸大学 大学院経営学研究科 経営学専攻 教授

2005年 神戸大学大学院経営学研究科教授(~現在)
2004年 ハーバード大学フルブライト研究員(~05年)
2003年 INSEAD 客員研究員(~04年)
1998年 科学技術政策研究所客員研究官(~99年)
1997年 神戸大学経営学部助教授
1997年 スタンフォード大学よりPh.D(経済学博士)取得
http://www.eonet.ne.jp/~tharada/

 

・著者プロフィール

尾城 奈緒子
株式会社インテージ
事業開発本部 先端技術部 技術・開発2グループ


大学院にて、計量文献学の手法を用いて文学作品を研究し、2021年にデータサイエンスコースでインテージに新卒入社。先端技術部にてテキストマイニングの知見を活かした研究開発や新規事業開発に従事。

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