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アカデミアと連携した技術活用支援を目的とした社内セミナーの開催 第四回

アカデミアと連携した技術活用支援を目的とした社内セミナーの開催 第四回

第一回第二回第三回に続き開催されてきた、現場起点の技術情報発信プロジェクト「テクノロジーとマーケティングセミナー」も第四回で最終回となりました。今回は、第四回目のセミナー概要を紹介します。
このセミナーは、現状の当社の事業領域の課題を洗い出し、課題解決の一助となるよう外部講師をお招きした学術的な技術情報の機会、及び事業領域担当者自らが外部講師との対話を通じて情報を得ることができるディスカッションの機会を設けた社内セミナーです。

 

-客観的データを収集するためにどんな手段があるか?センサ(IoT)と機械学習(AI)を組み合わせることで現在のリサーチの拡張や新規事業のアイデアを発見するコツはあるか?センサ(IoT)と機械学習(AI)を用いて人の行動認識をご研究されている荒川先生の取り組みを踏まえてご説明いただきました。

 

 

【外部講師】

九州大学 大学院システム情報科学研究院 教授 荒川豊先生

 

【ディスカッションメンバー】

インテージ社員 3名

 

【概要】

インテージグループの主な事業領域であるマーケティング支援の一つ、客観的データを用いたリサーチにおいて”目的起点”でセンサ(IoT)と機械学習(AI)を組み合わせることによる当社のサービス拡張や新規事業開発アイデアを発見すること狙いとして、外部講師より理論ベースのアプローチで、体系立てた顧客提案プロセスの理解促進を目指し、外部講師をお招きしたセミナーを行いました。外部講師のご講演では、「スマートフォンやウェアラブル機器のセンサを通じた人の状態認識」と題して、人の行動認識のデータ収集と分析のプロセスを学びました。
荒川先生は、まず研究者が思う身近なセンサを紹介され、現在私たちの身近なモノでどのようなデータが収集できるか紹介されました。次にセンサの計測データから行動を認識する方法として、パターン認識の方法を解説していただき、センサの計測データから一足飛びで行動を認識させることはできないことを教えてくださいました。後半は、具体的な研究事例を紹介され、特にアンケート調査の結果をセンサデータから当てる取り組みによって設問数を減らし対象者の負荷の低減につながるヒントを頂き、今後のリサーチでの活用可能性について視野が広がりました。

 

-センサデータを活用した新たなリサーチビジネスに挑戦するインテージメンバーと荒川先生で討論を行いました。

その後のディスカッションでは、センサデータを活用した新たなリサーチビジネスに挑戦するインテージメンバーそれぞれが現場で抱えている課題や難点について議論しました。お客様に新しい調査を提供している営業担当は、リサーチ企画や分析を推進していく中で、どのようなセンサがあり、どう使い、適切な結果を結びつけ、提供することを心がけているかという点について、荒川先生から人間を観察して前提を崩すことで新たなリサーチへのひらめきが生まれる可能性の示唆を頂きました。家庭内研究では、日常の人の行動を観察することでいくつもの仮説を発見していると言います。また、家庭内を知るための手段として、カメラなどで撮影する以外にも家庭内で常時使用しているものから家庭内の状況を把握しようという試みの考案や、前提を崩した発想の重要性についてお話されました。他にもすでに当社で保有しているデータとの組み合わせについては、問題設計を小さくし、紐づけられやすいデータから繋いでいくことで分析がやりやすくなるアドバイスを頂きました。新たな領域として近年期待されている未病の領域にも活用が期待される消費者の経時的な主観データとの組み合わせは、近年高度化されている健康管理可能なウェアラブルデバイスを用いたデータ収集解析の可能性についても有益な示唆を頂き、大きな学びとなりました。

 

-センサを活用した新たなリサーチの可能性を参加者も感じていました。

センサなどのテクノロジーを活かすために、日々生活者を観察し仮説につなげる荒川先生のすごさを知れました。自分も学ぶことが多かったので今後の業務にも活かしていきたいです。
今回の講演が非常に興味深かったので、同様のテーマ(IoT/IoHを活用したセンシング技術活用)で、第2弾をぜひ開催してほしいです。
最後に、今回初めて当社グループ会社社員を対象としたクローズなセミナーを全4回開催しました。当社メンバーに限ることで、日々の業務で抱えているリアルな課題や難点を有識者に質問することができたため、有識者からもより具体的な解決案やアドバイスを頂くことができたと感じました。本セミナーのようにインテージグループでの、社員のナレッジを通して、既存のリサーチのさらなる進化にご期待ください。

 

・荒川豊先生プロフィール

九州大学 大学院システム情報科学研究院 教授

平成31年 4月〜 九州大学 大学院システム情報科学研究院 教授
平成31年 4月〜 大阪大学 大学院情報科学研究科 招へい教授
平成27年 8月〜 大阪府立大学 文章解析・知識科学研究所 客員研究員
平成28年12月〜 JST CREST 「人間と調和した創造的協働を実現する知的情報処理システムの構築」連携研究員
令和3年6月〜 一般社団法人 情報処理学会 理事
令和3年7月~ 一般社団法人 SDGsデジタル社会推進機構・理事
https://arakawa-lab.com/

 

・著者プロフィール

小林 春佳
株式会社インテージ
事業開発本部 先端技術部 R&Dグループ


生体計測をメインとするマーケティングリサーチャー、コンサルタントを経て、2019年インテージ入社。先端技術部にて行動科学分野の知見を活かした研究開発や新規事業開発に従事。組織内のナレッジの蓄積のため、情報発信業務にも注力。

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