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アカデミアと連携した技術活用支援を目的とした社内セミナーの開催 第三回

アカデミアと連携した技術活用支援を目的とした社内セミナーの開催 第三回

第一回第二回に引き続き開催された、現場起点の技術情報発信プロジェクト「テクノロジーとマーケティングセミナー」の第三回目の概要を紹介します。
このセミナーは、現状の当社の事業領域の課題を洗い出し、課題解決の一助となるよう外部講師をお招きした学術的な技術情報の機会、事業領域担当者自らが外部講師との対話を通じて情報を得ることができるディスカッションの機会を設けた社内セミナーです。

 

-複雑な現代社会において先を見通した提言を行うためにはどうしたらよいか?コロナ禍のような不確実性の高い未来を予測するためのシミュレーションとは?栗原先生のご経験とCOVID-19感染シミュレーションプロジェクトの取り組みを踏まえてご説明いただきました。

 



 

【外部講師】

慶應義塾大学 理工学部 管理工学科 教授 栗原聡先生

 

【ディスカッションメンバー】

インテージ社員 3名

 

【概要】

インテージグループの主な事業領域であるマーケティング支援の一つ、予測分析業務において顧客との仮説構築を円滑にすることを目的として、外部講師から理論ベースのアプローチで、体系立てた顧客提案プロセスの理解促進を目指し、ご講演では、「Withコロナ社会を生き抜くためには?~データからの妄想力とシミュレーション活用」と題して、シミュレーションを行うまでのプロセスとモデル実装におけるインテージの強みについて学びました。
まず、栗原先生は、クリエイティビティイノベーションというキーワードから点の発見と点と点を結ぶ繋がりの発見を図で示し、人ならではの能力である「妄想力」について説明されました。次に内閣官房のCOVID-19 AI・シミュレーションプロジェクトで実際に行ったシミュレーションとシミュレーション内でイベント(ワクチン接種)を発生させた結果を解説されました。シミュレーションを実装する上での課題や質の高いデータの重要性も合わせてお話されました。

 

-実際に生活者の意識・行動の変化を捉えたいお客様の悩みについて、栗原先生と討論しました。

 

Agent-Based Modeling(ABM)とは

 

その後のディスカッションでは、インテージでも「生活者の変化を捉えるためのインテージデータ」と題し、当社で予測分析に携わっているメンバーがお客様と共に取り組む中で得た経験やその中で抱えている課題として、主にシミュレーションや予測するために重要なことを栗原先生と議論しました。
シミュレーション・予測・先読みをする上でどのような要素があれば、より立体的に深みを増した分析ができるのかという議論の中では、行動変容に結び付く人間の主観を取り出すことが重要であると述べた上で、これをデータ(客観)から取り出そうとすると1種類のデータでは困難であり、複数のデータを掛け合わせることで見つけていける可能性があると、具体的な事例を挙げながらお話されました。また、データを集める観点では、難しいが人間を知ることが重要で、データサイエンス、エージェント、シミュレーションから一見関係ないと思うかもしれないが、長い時間をかけて人間を研究してきている心理学や認知心理学の知見を活用することで有益なデータを得られる可能性についてアドバイスを頂きました。最後にシミュレーションは、未来のシナリオを複数描くことができ、その未来のシナリオをどうしたら起きないようにできるか(あるいは起こすことができるか)、そのために僕ら人間がどう変わっていけば良いか、知ることに適したツールであることを述べられました。当社がシミュレーション・予測・先読みをお客様と共に考えていく上でシミュレーションのその先を考えていく重要性を学ぶことができました。

 

-本セミナーを通じて、データ分析よりも意思決定を重視し、一気通貫で対応することの大切さを学ばせていただきました。

ディスカッションメンバーとして参加し、当社で予測分析業務に携わっているデータサイエンティストの森田さんは、お客様にとって価値のあるシミュレーション結果を出すために、インテージの生活者理解力と豊富なデータは非常に強力な武器になると感じました。また、シミュレーション結果を踏まえてお客様とより近い距離でディスカッションできることが、インテージのデータサイエンティストとして非常に魅力的なものだと気づきました。
市場理解、顧客対話を深め、より核心的な顧客課題を解決できるデータサイエンティストになりたいと、本セミナーに登壇して強く感じました。

 

・栗原聡先生プロフィール

栗原聡
慶應義塾大学 理工学部 管理工学科 教授
慶應義塾大学 共生知能創発社会研究センター センター長


慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。博士(工学)。NTT基礎研究所、大阪大学大学院情報科学研究科、電気通信大学大学院情報理工学研究科などを経て2018年から現職。
電気通信大学に国立大学では初となる人工知能先端研究センター(初代センター長)を設立。株式会社オムロンサイニックエックス、株式会社オルツ、澪アナリティクス各技術顧問、情報法制研究所上席研究員など。人工知能学会理事・編集長などを歴任。
人工知能学会倫理委員会オブザーバ。人工知能、複雑ネットワーク科学、自律分散システム等の研究に従事。著書『人工知能と社会』(オーム社)、翻訳『群知能とデータマイニング』(東京電機大学出版)、編集『人工知能学大事典』(共立出版)等多数。

 

・著者プロフィール

小林春佳
小林 春佳
株式会社インテージ
事業開発本部 先端技術部 R&Dグループ


生体計測をメインとするマーケティングリサーチャー、コンサルタントを経て、2019年インテージ入社。先端技術部にて行動科学分野の知見を活かした研究開発や新規事業開発に従事。組織内のナレッジの蓄積のため、情報発信業務にも注力。
森田 優介
株式会社インテージ
事業開発本部 DX部 DX3グループ


大学院にて、数理モデルによる薬理作用シミュレーションを研究し、2018年にデータサイエンスコースでインテージに新卒入社。一般消費財メーカー向けの予測業務を中心に広くデータ解析業務に従事。Agent Based Modelを活用した市場シミュレーションの活用推進も担う。

Academic Programs, Data Science