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アカデミアと連携した技術活用支援を目的とした社内セミナーの開催 第二回

アカデミアと連携した技術活用支援を目的とした社内セミナーの開催 第二回

第一回に引き続き開催された、現場起点の技術情報発信プロジェクト「テクノロジーとマーケティングセミナー」の第二回目の概要を紹介します。

このセミナーは、現状の当社の事業領域の課題を洗い出し、課題解決の一助となるよう外部講師をお招きした学術的な技術情報の機会、事業領域担当者自らが外部講師との対話を通じて情報を得ることができるディスカッションの機会を設けた社内セミナーです。

 

-データ分析とビジネス成果の壁について、なぜ発生するのか?そもそも定義はあっているのか?どのような役割、意識で取り組むべきなのか?を河本先生のビジネス経験を踏まえてご説明いただきました。

 

【河本先生のお話】
1.3つの勘違い
 ・・・ そもそもデータ分析って、なにをすること?

2.データと分析力で現場業務を改善する仕事の型
 ・・・ 分析は成功、でも活用されない。 なんで?

3.見つける型(分析問題を設計する型)
 ・・・ どうやって課題を見つけて、どうやって設計するのか?

 

 

【外部講師】

滋賀大学 データサイエンス学部 教授 河本薫先生

 

【ディスカッションメンバー】

インテージ社員 3名
インテージテクノスフィア社員 1名

 

【概要】

インテージグループの主な事業領域であるマーケティング支援の一つ、データ分析における顧客とのコミュニケーションをより円滑にすることを目的として、外部講師から理論ベースのアプローチで、体系立てた顧客提案プロセスの理解促進を目指し、ご講演では、「データ分析プロジェクトを「分かる」にとどまらず「役立つ」に到達される型」と題して、ビジネスとして成功させるデータ分析について学びました。
まず、河本先生は、大阪ガスにデータ分析業務に従事(当時はデータサイエンティストという職種は確立していなかった)していたときにデータ分析が単なる分析結果で終わってしまったご自身のご経験を3つの勘違いとして、苦労した点を紹介されました。
次にこのご経験を生かして、データ分析が単なる分析結果に終わらずビジネスに繋げることができたのか、データと分析力で現場業務を改善する仕事の型として「分析問題設計」「データ解析」「現場導入」の3セットを解説されました。
その中でも「分析問題設計」見つける型をstep1~step3に定義し、具体的な事例を加えて解説されました。

 

-実際に現場でよく発生する、データ分析とビジネス成果の壁について考え、解決策を河本先生と討論しました。

 

【みんなが抱えている課題を先生に聞いてみよう】

1.データ基盤を開発しても利用してくれない。 どうすればいいのでしょうか?
 ⇒ それは、〇〇が足りないからです。

2.レポートには仕上がりに満足いただけた。でも、活用されないのはなぜですか?
 ⇒ それは、〇〇した方がいいです。

3.お客様との課題設定はどこまで調整するべき?
 ⇒ その場合は、〇〇と考えましょう。

4.POCの成果が良くても、実装まで進まない。 なぜなのでしょうか?
 ⇒ それは担当者が、〇〇だからです。

 

 

その後のディスカッションでは、「『データ分析』業務が、お客様にとっての『価値創造』になるために」と題し、お客様のよくある4つの壁が提示され、顧客課題の設定と顧客の意思決定プロセスを中心に壁を取り除くための方法を議論しました。
DX推進プロジェクトで、データ基盤を開発しても、現場で使ってもらうように推進するためにはどうすればいいかという当社でDX推進業務に従事している担当からの質問に対しては、外部である当社から顧客の現場に使ってもらうように働きかけることはハードルが高いが、現場が使うことによるインセンティブやメリットを顧客と設計することが大事であることと、具体的な解決策のアドバイスを頂きました。
他にAI開発に従事する担当からは、POCで良い結果を得ても実装のハードルが高いことが多く、理由として考えられることは何かという質問がありました。データ分析業務ではよくある話で、日本の企業ではPOC実施の決裁者と実装の決裁者が違う点と、実装に伴う責任が大きいためPOCほど意思決定がされないこと点から、意思決定を進めてもらうためのプロセスの観点から解決案を述べました。
河本先生は、今回の講義では1人のビジネスパーソンとして話しますと冒頭でおっしゃっていたように、当社のデータ分析をビジネスとして成功に導くためのアドバイスをしてくださいました。

 

-本セミナーを通じて、データ分析よりも意思決定を重視し、一気通貫で対応することの大切さを学ばせていただきました。

リスナーとして参加したデータサイエンティストのFさんは、調査会社のデータサイエンティストとして活動していると、分析行為そのものが目的化して、分析がうまくいけば満足してしまうことが多かったです。
しかし、河本先生の「データ分析で重要なのは課題の発見と分析結果を現場の意思決定に使わせること」という言葉を聞いて、それらを含めて一気通貫で担えるデータサイエンティストにならなければならないと感じました。
河本先生の「分析問題を設計する型」を参考に顧客課題解決に取り組み、インテージや顧客に貢献できるデータサイエンティストになりたいと思います。

 

・河本薫先生プロフィール

滋賀大学データサイエンス学部教授
兼 データサイエンス教育研究センター副センター長
元 大阪ガス(株)ビジネスアナリシスセンター所長


1991年、京都大学応用システム科学専攻修了。大阪ガスに入社。
1998年から米国ローレンスバークレー国立研究所でエネルギー消費データ分析に従事。
帰社後、大阪ガスにてデータ分析による業務改革を推進。
2011年からデータ分析組織であるビジネスアナリシスセンターの所長を務め、大阪ガスにおいてデータ分析組織を定着させた。
日経情報ストラテジーが選ぶ初代データサイエンス・オブ・ザ・イヤーを受賞。
2018年4月より現職。大阪大学招聘教授を兼任。博士(工学、経済学)。

 

・著者プロフィール

小林 春佳
株式会社インテージ
事業開発本部 先端技術部 R&Dグループ


生体計測をメインとするマーケティングリサーチャー、コンサルタントを経て、2019年インテージ入社。先端技術部にて行動科学分野の知見を活かした研究開発や新規事業開発に従事。組織内のナレッジの蓄積のため、情報発信業務にも注力。

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