2020.06.10
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自身の薬の副作用の経験から薬学の世界へ──新規事業に取り組む2年目社員の挑戦 【from talentbook】


インテージヘルスケア入社後、新規事業部署に携わっている井上 恵理。2020年3月現在クライアントである医薬品メーカーの薬の安全性における課題解決をサポートしています。なぜ、薬剤師ではなくCRO(医薬品開発業務受託機関)という業界を選んだのでしょう。「薬」と新規事業に携わる中で感じていることを語ります。

10代で経験した「薬」の影響力

10代のころに、肌荒れで通院した病院で処方された薬を飲んだら、余計に肌が荒れてしまったことがあるんです。

薬って症状を良くするために飲むのに、個人の体質や体調、飲み合わせなどによってかえって悪化することがあるとあらためて気付いて、そこから薬に興味を持ち始めました。

こんな小さな粒なのに薬効が出たり、副作用があったりと、体に変化を起こすことができる──純粋にすごいなと思い、なぜそのような作用を持つのか疑問でしたね。

私は体が弱かったので、小さいころから薬を飲む機会が多くありました。また親が薬剤師だったということも、薬を身近に感じたきっかけだったのかもしれません。自然と、大学は薬学部に進みたいと思うように。

一方で、「薬学部に入る=薬剤師になる」とは考えておらず、いろいろな職業に興味を持っていました。

とはいえ、大学に入る前、親類が病気になってしまい、病気の症状や薬の副作用に苦しんでいたものの、その後薬を切り替えることで、苦しんでいた様子が嘘のように回復しとても元気になった場面を見た経験があったのです。

このときに、患者さんの体質や体調ごとに合う薬はみんな違うのに、「そんな薬をどうやって患者さんに届けているのか?」「医療現場も含めどのような職種の人が関わっているのか?」といった漠然とした疑問を持ちました。

このときの疑問が、現在就いている薬を患者さんに届けることに関わる仕事へ興味を持つきっかけになったと思います。

副作用をいち早く知り、患者さんに貢献したい



▲学生時代の実習中の井上

進学した薬学部は、薬剤師になるための勉強をする学部なので、薬に関する知識をたくさん学びます。そうすることで、「安全な薬をいかに患者さんにお届けするか」ということへの理解を深めていくんです。

知識の習得だけでなく、薬を届ける臨床現場での実習も経験しました。

実習は調剤薬局と病院の薬剤部でそれぞれ3カ月ずつだったのですが、病院の薬剤部にあった「医薬品情報室(医薬品の使用に関わる情報全般を集めている専門部隊)」でお話をうかがった際に、薬の作用、とくに副作用に再び興味を持ち始めたんです。

とくに、実習先の先生で、国の副作用情報のデータベースと病院のカルテの情報を用いて、副作用の研究をされている方がいらっしゃり、

その先生は、他の疾患との掛け合わせで出てくる副作用や、ある一定の年齢の人だけに起こる副作用など、さまざまな傾向を分析し、また、同じ性質の薬の副作用傾向を比較していましたね。

みんなが気付いていない副作用をいち早く知り、患者さんに貢献することができる──

そんなことが私にとってはとても魅力的であり、その手法のひとつである「シグナル検出(臨床現場や企業の副作用報告などから、詳細な調査が必要な副作用を見つける方法)」に強い興味関心を持ちました。

それまでは薬の知識量をいかに増やすか、という勉強をしていたのですが、副作用の研究に興味を持つと、数学的な手法や分析がどうしても必要となり、数学の研究室に所属。

研究室では、みんながやりたいテーマ(医療経済、感染症の動向など)があって、それを数学的な手法で解決するために協力して解決しました。これまで知らなかったことを教えてもらうことができたのは、本当に幸運だったと思います。

就職活動をする際、薬学部というと薬剤師を目指す方が多いので、薬剤師の道に行こうかどうか迷いました。しかし、薬の副作用についての興味が捨てきれず、CRO(医薬品等開発業務受託機関)業界に関心を持ったのです。CROは製品や疾患領域に縛られず、多くの薬を扱うことができるのが魅力に感じましたね。

新規事業へ配属──お客様の課題に向き合う毎日

CROの世界では、治験と市販後調査というふたつの領域があります。

治験では年齢や性別、飲んでいる薬の種類などの条件をそろえた患者さんを対象に薬の有効性や安全性を調べる一方、市販後の調査では、実際の臨床現場での患者さんを対象に薬の有効性と、とくに安全性(副作用)を調べることがメインとなります。

そこで、もともと関心の高かった市販後調査という領域で最大手であり、シグナル検出に関わる業務も行っているインテージヘルスケア(当時:アスクレップ)に入社したいと思い、ご縁をいただくことができました。

2018年入社後に配属されたのは、新しくできた新規事業の部署。

クライアントは主に製薬会社です。製品である医薬品の安全性や有効性に関して、データベースを用いることで、新たなエビデンスの創出や市販後の安全性調査(データベース調査)を支援することが業務となっています。

今までの市販後調査では、データを集めるところからスタートして、集めたデータを分析して調べるスタイルですが、クライアントの中で手順が確立されていることが多く、かつやり方まで具体化されていた状態で依頼されることが多くなります。

一方、データベース調査では、既存の市販後調査よりも多くのデータ量を用いて効率よく分析ができるほか、実際に臨床現場で薬を使用する多くの方々に近いデータを表現できるといったメリットがあり、調査に対してお客様とディスカッションしながら、どうやって分析をするかというデザインをつくるところから企画します。

データベース調査は始まったばかりであることから、お客様も初めてデータベース調査を行われるケースが多く、デザインに関して私たちとディスカッションをさせていただきながら、どう分析していくかを決めていくことが多いです。

お客様はやりたいことが決まっているけど、手法やデータの取り扱い方に関して慣れない部分もあるため、目的に合ったデザインになるよう、医療情報の取り扱いや手法などをご提案させていただく形になります。

2020年3月現在は、シグナル検出のほか、業務で関わっているデータベース調査やデータベース研究に強く興味を持つようになりました。インテージグループの協和企画のサービスであるメディスコープを使うこともあります。

仲間と共にチャレンジすることのすばらしさ



▲打合せにも、明るく、前向きに、仲間とお客様の課題解決に臨む井上

大学時代に興味を持っていたシグナル検出については、現在、業務上関わっていないのですが、2019年からはシグナル検出の部門と同じ部署で一緒に働かせてもらい、非常に刺激を受けています。

入社2年目になり、お客様に提案する機会もできました。説明をしたり、会議を仕切らせてもらったりと達成感があります。

この仕事は、新規の案件も多いのですが、新しいお客様とディスカッションする中で、信頼を得て、次の業務につながることもあり、そういうときは本当にやりがいを感じます。

今、チームの仲間は大阪オフィスと池袋オフィスに12名いますが、みんなバックグラウンドが違っていて、いろいろな分野の専門家なんです。だから案件がスタートすると、フレキシブルにメンバーがアサインされ、チームでどうしたら良いデザインになるか議論しながら決めていきます。

飲みに行ったときも業務の話になっちゃうくらい、みんな熱心なんですよ。チームでやることの醍醐味を感じている今日このごろです。新しい領域に仲間と共にチャレンジすることのすばらしさを感じます。

それぞれ違う専門性を持っているとはいえ、目指しているところはみんな同じ。専門知識を集めてより良いデザインを設計し、お客様の課題解決に携わっていきたい、という想いを抱いています。目標となる先輩が多く、恵まれた環境にいると思います。

日々の学びが大変多く、もっともっと成長したいです。今はまだひとりで業務を回せていないので、チームの皆さんにサポートいただきながら、1日でも早くひとり立ちしたいと思っています。


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(所属・役職は取材時のものです)

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カテゴリ:働き方