2017.12.18
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育休が変えた仕事への意識と家族の在り方~ワークライフバランスを見つける機会に


取得できることは知っているけれど、「取らなくても何とかなる」と思ってしまいがちな男性の育児休業(以下、育休)。前例が少ないことや仕事への影響を考え、取得をためらう人がいるかもしれません。日本の男性の育休取得率が3%※1と低い中、インテージグループでは10.7%(2016年度)と、少しずつ「取得した」という声を聞くようになってきました。

今回、子どもが生後3カ月目に入るタイミングで、一カ月にわたる育休を取得したインテージホールディングスの荒木慶太郎さんに、決断までの背景や仕事から離れる不安、そして実際に育休生活を経験して良かったと思うことなどを聞きました。

※1
厚生労働省が発表した2016年度の男性の育児休業取得率は3.16%。2020年度までにこれを13%に向上する目標を掲げている

子育てを「自分ゴト」にしたい気持ちは元からあった


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育休を取ろうと思ったきっかけは何ですか?
荒木
以前から、子どもができたら育児に主体的に関わりたいという思いがありました。周りで男性も育休を取り始めたと耳にしてから、環境が許せば自分も取りたいと。
男性が育休を取るタイミングとしては、産後すぐや配偶者が仕事に復帰するタイミングなど、いろいろあるようです。私たちは子どもがいる生活に慣れていない時に支え合うのがいいのではと話し合い、この時期に決めました。出産直後に私の海外出張が重なっていたので、妻は2カ月里帰りし、自宅に戻ったタイミングで私が育休を取ることにしました。
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育休を取りたいと相談した時の周りの反応はどうでしたか?
荒木
職場ではスムーズに受け入れられました。上司からは「1カ月でいいの?」と言われたくらいです。ポジティブなその言葉は励みになりましたし、理解がある同僚に恵まれていると思いました。また、友人に育休取得を伝えたら「夫婦で同時に取れるの?」と聞かれたこともありました。「パパ・ママ育休プラス※2」という制度は、まだあまり知られていないかもしれないですね。
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仕事を一カ月間離れる不安や心配はありましたか?
荒木
現在所属している海外事業統括本部での仕事が軌道に乗り始めた時期だったので、正直、このタイミングで離れることに不安はありました。新規プロジェクトが走っていたので、「戻った時にうまくポジショニングできるかな」という心配と、「自分が抜けてしまうことで、周りに迷惑をかけるのが申し訳ない」という気持ちも。でも、プロジェクトはそもそも、進行していく中で何が起こるか分からないので、心配するより周りの力を借りて任せようと思いました。
※2
「パパ・ママ育休プラス」とは、2009年7月の育児・介護休業法改正によって新設された制度。男性の育児参加を促進する観点から、父親・母親が共に育休を取得する場合、特例として育児休業期間を延長するというもの

気が付いたら夕方に…、育児とはそんな毎日の連続


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実際の育休生活はどうでしたか?
荒木
初めの一週間は、仕事に戻った時に情報をキャッチアップできるように毎日メールをチェックしていたのですが、そのうち頻度が下がってきました。育休の目的は子育てなので、メールチェックは自然と優先順位が下がりましたし、仕事から離れてみたら、気がかりも徐々に薄れていきました。
また、料理が好きなので、「育休中は興味のある『米粉パン』を作れるようになりたいな」と思っていましたが、実際は一日があっという間に過ぎて、気づいたら夕方になっている生活。本を読む時間さえもうまく取れなくて、少し焦りましたね。あと、「おむつって一日でこんなに何回も替えるんだ」とか、小さい驚きがいくつもあり新鮮でした。
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育休中に心がけたことはありますか?
荒木
細かいルールは特に決めませんでしたが、私は掃除などを「するときは完璧に」こなしたいタイプ。だから育休中は自分が主に家事を担当して、妻は息子の世話に専念していました。その上で、妻が日中に休んだり、美容院に行ったり、友だちに会ってリフレッシュしたりする時間をつくることも心がけていました(おこがましいですかね)。当たり前のことかもしれませんが…。
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ほかには育休中にどんなことがありましたか?
荒木
保育園の情報収集をいまから始めておこうと、10カ所くらいの見学に行きました。待機児童が多い区に住んでいるので、毎年変わる選考基準などの複雑な事情を知っておかないと、「保活※3」をするときにスタート地点にも立てないので…。見学時に子どもたちが大きな声であいさつしてくれた、雰囲気のよい保育園には引かれましたね。
※3
「保活」とは、子どもを保育所に入れるために保護者が行う活動

育児から得たのは、ポジティブな妥協と時間の使い方に対する意識の変化


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育休を終えて率直な感想は?
荒木
あっという間の一カ月でした。子どものいる生活リズムに乗り始めたところで終わってしまったので、あと1、2カ月欲しかった。そうすれば育児に関してもっと学ぶことができ、もしかして「米粉パン」も作れるようになったかもしれないな(笑)、なんて思います。
でも、家族三人で過ごしたこの一カ月は何より有意義で、この先の家族の在り方の礎といえるような、かけがえのない宝物になりました。
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育休を取る前と後で、自分自身に変化はありましたか?
荒木
自分はもともと、物事に対して白黒をはっきりつけたい性格で、そのためにストレスを感じやすかったかもしれません。でも、白とも黒ともつかないことってあるんですね。どちらかなのではなく、別の色でもいい。最近になって、「しょうがないこと」もあるのだと受け取れるようになり、ポジティブな意味での妥協というか、歩み寄りができるようになりました。
仕事の面では、「必要最低限の時間で効率的に仕事をする」という意識が高まりました。自分が成長するための時間も確保したいという気持ちがあり、復帰後は「いま本当にやるべき仕事」に無駄なく取り組めるようになりました。

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これからパパになる方、育休を取ろうか迷っている方へメッセージはありますか?
荒木
まず、育休取得を勧めたいですね。子どもの誕生は、単なる一つのライフイベントではないと思います。子どもが生まれて成長する年月が、その後も続く自分の人生に影響をもたらすことは間違いありません。育休は子どもの誕生に向き合い、育児を共にすることで配偶者との信頼を深めることができ、今後のライフステージにもつながるよい時間になると思いますね。
特に共働きの家庭では、双方が長く働き続けていくためにも、育児を実際的に自分ゴトにする時間はプラスになるはずです。そして、本質的な意味では、3、4カ月仕事を離れることが、キャリアの妨げにはならないと思います。職場の環境によっては育休取得が難しい方もいると思いますが、取るタイミングや時期は選べるので、ぜひ使ってみてほしいですね。

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カテゴリ:働き方